広島放送局

2010年1月25日 18時55分更新

黒い雨 はるか広範囲の可能性


原爆投下の直後にいわゆる「黒い雨」が降った範囲は、従来、国が認めていたよりもはるかに広い地域に及んでいた可能性があることが、広島市が行ったアンケート調査でわかり、広島市は今後、援護対策の見直しなどを国に求めていく方針です。

放射性物質などを含んだ「黒い雨」について、国は、被爆直後に行われた住民100人あまりへの聞き取り調査から、南北19キロの楕円形の範囲内で大雨が、29キロの範囲内で小雨が降ったとした上で、大雨が降った地域の住民だけを被爆者と見なし、無料の健康診断を行うなどしています。

しかし実際には、こうした地域以外の住民からも「黒い雨が降った」という証言が相次いでいることから、広島市は広島大学原爆放射線医科学研究所の大滝慈教授とともに1800人あまりを対象にした大規模なアンケート調査を行いました。
25日に開かれた会合で、結果が報告されました。
調査報告によりますと「黒い雨が降った」という証言は、安芸区や安佐北区の一部など、現在の広島市の東部を除いたほぼ全域で得られました。
そして、それぞれの場所で黒い雨が降ったとする時間帯を分析した結果、雨の中心が時間とともに北西に移動していった様子が浮かび上がったということです。
広島市では、今回の結果についてさらに分析を進めたうえで、「黒い雨」をめぐる援護策の見直しを国に求めていく方針です。