小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)元役員が東京地検特捜部の調べに対し、2005年4月、会計責任者だった公設第1秘書・大久保隆規(たかのり)容疑者(48)に現金5千万円を渡した際、その場に別の建設業界関係者も立ち会った、と供述していたことがわかった。
この業界関係者も特捜部に対し、同席したことを認めたという。これに対し、大久保秘書は裏金の受領を全面否定している。特捜部は引き続き、裏金について大久保秘書らを調べている模様だ。
水谷建設関係者らによると、同社元役員は特捜部に対し、「胆沢(いさわ)ダム」(岩手県奥州市)の本体工事と岩石採取工事の受注時期と重なる04年10月と05年4月に、小沢氏側に5千万円ずつ計1億円の現金を渡したと供述。1回目は元秘書の衆院議員・石川知裕(ともひろ)容疑者(36)に、2回目は大久保秘書に都内のホテルで手渡しした、としている。
この2回目の05年4月分について、元役員は「大久保秘書の要請を受けて経理担当者に現金を用意させたうえ、同社社員ではない第三者の建設業界関係者が立ち会って大久保秘書に渡した」と供述したとされる。一方、大久保秘書は弁護士に対し、水谷建設側と会った場面を「覚えていない」と話しているという。また、石川議員も04年10月の受け取りを全面否定している。
特捜部は、04年10月に原資不明の4億円で都内の土地を約3億5千万円で購入した収支などを政治資金収支報告書に記載しなかったとして、大久保秘書や石川議員、元秘書の池田光智容疑者(32)の3人を政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕した。石川議員はこれらの収支を、また池田元秘書は07年の小沢氏への4億円の支出を、いずれも故意に収支報告書に記載しなかったこと自体は認めている。ただ、その経緯や役割などについては依然として供述に食い違いがあることから、特捜部は、他の証拠などとも照らし合わせて全容解明を進めている。