--笹川氏と日本財団は韓国とどんな民間交流をしてきたのか。
「(戦後、韓国に残留した日本人夫人の療養所である)ナザレ園を設立して30年以上支援し、延世(ヨンセ)大や高麗(コリョ)大に共同研究基金と奨学基金を設置した。 がんで余命6カ月の宣告を受けたが手術費がなく困っていた小学生の手術費を個人的に出したこともある。 月給から少しずつ支援し、それを返すのに10年かかった。 旧韓国末の英親(ヨンチン)王・李垠と結婚した(日本皇族出身の)李方子(イ・バンジャ)氏が設立した障害者生活施設の明暉園も支援するなど、これまで9団体に17億4129万円を支援してきた」
--北朝鮮とも交流を推進したと聞いている。
「人道的レベルで、北朝鮮に行った(在日同胞と結婚した)日本人妻の帰還を推進するためだった。 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の北送時、夫と一緒に北朝鮮に渡った日本人妻は1800人にのぼる。 その時、金日成(キム・イルソン)と張成沢(チャン・ソンテク)に会い、生存者500人を連れて帰ることで合意した。 しかし北朝鮮と交流がなかった日本政府が突然入ってきて交渉は成立しなかった。 16人ずつ2回つれて帰ってきただけで帰還事業は終わった」
--天皇の訪韓についてどう考えるか。 韓国では日本は依然として「最も嫌いな国」に選ばれるが、その比率は大きく減っている。
「韓国人が歓迎し、世論が友好的ならばよいのではないか。 日本では韓流ブームで多くの女性が韓国ファンになった。 私の妻もある時は30時間ほど韓流ビデオを見たりする。 やはり文化の力は大きい。 私の息子の周囲の友達も韓国人が多い。 しかし韓国が日本を眺めるうえで温度差があるようだ」
--韓半島の南北統一についてはどう思うか。
「理性的に見れば(統一が)目前に来ていると考える。 しかし金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代はあまりにも感情的に民族統一を考える傾向があった。 実際に統一すれば韓国がどの程度の負担を負うべきか考えなければいけない。 統一という不変の目的があるだろうが、現実的な困難を克服できる方法についての議論は足りないようだ。 突然統一すればとんでもない(経済的・社会的混乱)状況になるはずだ。 やはり準備をしておくのがよい」
--日本の保守層は中国の急浮上を警戒している。
「中国は自信があふれているようで、私は少し熱を冷ますように助言している。 山が高ければ谷も深くなる。 必ず低くなる時があるので、今から対処しなければならない。 常に成長する経済はない。 中国の貧富の差が深刻な点も心配になる。 (中国がもともと)追求してきたように平等な社会を作るべきだ」
--日本はバブル経済崩壊後20年間も活力が落ちている。
「全く心配していない。 経済学者は常にバブル経済時を基準に話す。 しかし失業率は5%水準にとどまり、先進国の中では最もよいほうだ。 日本企業が活力を失ったという指摘も必ずしも正しいわけではない。 むしろ韓国の三星(サムスン)電子があまりにも強くなったと考えるのが正しい。 それは尊敬すべきことだ。 韓国が経済的にもよりいっそう飛躍することを願う」
笹川陽平氏「韓日関係を変える力は行動する若者」(1)