彼と二人で調べてみると、土の中からジップロックにはいった大きな自然銅(鉱物)の玉が出てきた。五千円の値札シールが貼ってある、雪ノ下にあるパワーストーンショップだ、包装されていないということは—、
「あんたッ! 万引きしたの?」
息子はありったけの声を振り絞って泣き叫び、泣き声の風圧でよろめくように二、三歩後退った。悲しみを誇張し過ぎたB級ホラー映画の女優じみた泣き方が、癪に障った。
「謝ってきなさいよッ!」
「イヤだ!」
息子は泣きながら、じりじりと後退しはじめた。
「イヤでもなんでも、盗ったものは返しに行かなきゃいけないだろうがッ! 許してもらえるかどうかわかんないけど、謝んないといけないだろうがッ!」わたしは息の詰まった早口で喚き散らし、後退って門の鉄格子に背中を押し付けている息子の頭を、平手で思いっ切りひっぱたいた。
「痛いよぉ! 痛いよぉ!」
門の外を、同級生のKくんとお母さんが自転車で通り過ぎたのが見えた。
斜向かいに住む老人も様子を窺うために、ガレージに出てきた。
児童相談所に通報されると厄介なことになるので、近所に聞こえるように声を張り上げた。