「なんで、頼んでないものを買うのさ! しかも、生き物じゃん! 生き物を飼ったら、生きさせる努力をしないといけないんだよ! 飼い主としての責任が生じるんだよ! だいたい、ハヤとかコイを水甕で飼えるわけないじゃんか! あっという間に大きくなって、水甕からジャンプして死んじゃうのが落ちだからね!」
(バーベキューの金網をかぶせた上に煉瓦をのせたので、飛び出すことはなかったのだが、真夏の水温上昇に堪えられなかったのか、ある朝覗いてみたら、三びきいっぺんに腹を見せて浮いていた)
息子が上体を捩ってサツキの植え込みを盗み見たのを、わたしは見逃さなかった。
植え込みの中には、BB弾に詰める火薬と鉛玉の袋が隠してあった。
「これは、危険だから、買わない!って言っただろうがッ! いったい、いくら使ったんだ? お釣りとレシート出してみろッ!」
息子は歯軋りをしてわたしの顔を睨みつけ、ポケットの中で何かを握りしめた。
「出せッ! 十秒数えるあいだに出さないと、ぶっ叩くぞッ! いち、にい、さん、し……」
息子は、突然ギャーッと絶叫して、植え込みに倒れ込んだ。
玄関から出て、わたしたちのやりとりを見ていた彼が、植え込みの中を指差した。
「泣き真似しながら、土になんか埋めてるッ!」