小1虐待死:小学校、行政側に注意喚起せず 東京・江戸川

2010年1月25日 21時26分 更新:1月26日 0時1分

 東京都江戸川区立松本小1年、岡本海渡(かいと)君(7)が両親から虐待され死亡した事件で、虐待が発覚した昨年9月以降、海渡君が長期欠席するようになったのに、同校が状況を区子ども家庭支援センターに連絡していなかったことが、25日の同校の会見で分かった。センターは「状況把握を学校に任せていた」と話す。専門家は「典型的な虐待のハイリスク家庭なのに、関係機関の連携が不十分だった」と指摘している。

 「パパにぶたれた。ママは見ていて何も言わない」。昨年9月、左ほおと両足のももにあざがあるのに気付いた歯科医に、海渡君は打ち明けた。いつもは元気な海渡君がしゅんとしていたという。

 歯科医師は同14日に同センターに通報し、校長らはその3日後、海渡君のアパートを訪問した。父の健二容疑者(31)は「うそをついたのでしつけの意識で殴った」と認め、「二度と殴らない。男の約束だ」と言い切ったという。だが、海渡君は9月に6日間欠席するなど、欠席が目立つようになった。

 担任の男性教諭(28)は海渡君の様子をみるため、12月に3回アパートを訪ねた。担任は海渡君の顔を見ようとしたが、母の千草容疑者(22)は拒んだという。両親は欠席させるたびに「頭痛がひどい」「実家に帰っている」と学校に連絡。同校は「欠席理由が明確だったので、センターに欠席状況を伝えなかった」と説明する。

 一方、同センターを所管する同区児童女性課の丸山みどり課長は「欠席が続いていると知っていれば、次の対応はできたかもしれない」と認めた。

 一連の対応について元大阪市中央児童相談所所長の津崎哲郎・花園大教授(児童福祉論)は「母親の再婚相手と暮らし、実家に預けられて育った海渡君の経歴からみると、虐待のハイリスク家庭だったと言える。昨年9月の時点で関係機関が連携し、支援策を講じるべきだった」と話す。【古関俊樹、神澤龍二、田村彰子】

 ◇虐待事件の経過◇

09年2月 健二、千草両容疑者が結婚

  4月 小学校入学を機に、千草容疑者の連れ子の海渡君が同居を始める

9月14日 あざに気付いた歯科医が区子ども家庭支援センターに通報

  17日 校長らがアパートを訪問、健二容疑者が虐待を認める

  10月 学校を11日間欠席

  12月 担任が3回アパートを訪問したが海渡君には会えず。12月は6日間欠席

10年1月23日 海渡君が両親から暴行を受け意識不明になり病院搬送。1月は8日間欠席

  24日 海渡君が死亡。小岩署が両容疑者を傷害容疑で逮捕

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