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「ひつまぶし」を商標登録 名古屋の老舗おかみ死去

2010年1月14日17時43分

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写真:亡くなった鈴木せき子さん=遺族提供亡くなった鈴木せき子さん=遺族提供

 名物「ひつまぶし」で知られる、名古屋市熱田区の老舗(しにせ)うなぎ料理店「あつた蓬莱(ほうらい)軒」4代目女将(おかみ)の鈴木せき子(すずき・せきこ)さんが11日、同市南区の中京病院で悪性リンパ腫で死去した。88歳だった。葬儀は親族のみで行われた。お別れの会は18日午前11時30分から同市中区錦1丁目の名古屋観光ホテル那古の間で開かれる。喪主は娘婿享(すすむ)さん。

     ◇

 お客さんに、名古屋弁で「おいりゃーすばせ(いらっしゃいませ)」と声をかけ続けた。出身は名古屋市瑞穂区。医者の兄を手伝っていたせき子さんは20歳で、4代目の鈴木兼三氏と結婚した。「まったく違う仕事で、おかみ修業も厳しく、苦労したと言っておりました」と、一人娘の詔子(のりこ)さん(65)は振り返る。

 せき子さんは1987年に「ひつまぶし」を商標登録。名物「ひつまぶし」の認知度が一気に上がり、店には全国から客が訪れた。一方で、地域の名物として大事にしたいと、「ひつまぶし」の商標使用を他の店にも制限しなかった。2005年の愛・地球博の際は店は外国人観光客でごった返した。せき子さんの滑らかな名古屋弁をまねて、「な〜も〜」と笑顔を見せる外国人もいたという。

 せき子さんは「社会に恩返しがしたい」と60歳から仕事で着る着物の知識を生かし、着付けの際に必要な「組みひも」を地域の人に教えた。知人の紹介でドイツに行って現地の人々に教えたこともあるという。詔子さんは「思いやりのある人でした。私も思いやりをもって正直に商売をやっていきたい」と語った。

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