検察“小沢立件”最終決断へ「切り札」と自信アリ?

2010.01.25


小沢一郎政治塾出身のチルドレン、橋本博明衆院議員のパーティーで乾杯する小沢氏。幹事長続投に意欲満々だが=24日午後、広島市【拡大】

 民主党の小沢一郎幹事長をめぐる疑惑がさらに深まっている。東京地検特捜部による4時間半の事情聴取を受け、小沢氏は「事実を包み隠さず話した」と記者会見で豪語したが、にわかに信用できないのだ。浮かび上がる3つの疑惑。「切り札」を握ったという特捜部側は小沢氏の供述内容を分析し、裏付け捜査を進めたうえで、「逮捕」か「在宅起訴」「不起訴」といった最終決断を下す。3月末の公訴時効に向けて、タイムリミットは刻々と迫っている。

 小沢氏の資金管理団体「陸山会」が2004年に購入した、都内の土地をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記載)事件。小沢氏の事情聴取は23日に終わったが、(1)土地購入費4億円の原資(2)多額資金を手元保管した理由(3)小沢氏の事件関与−といった、3つの疑惑が浮上している。

 まず、4億円の原資は不可解だ。小沢氏は事情聴取後の記者会見で「私の個人的資金を貸し付けたのが事実のすべて」と語ったが、これまで説明が二転三転しているのだ。

 小沢氏は3年前、「皆さまに頂いた政治献金」と明言していた。ところが、陸山会は昨年末、報道機関に「小沢氏が金融機関から4億円の融資を受け、同会が借りた」と説明。その後、融資が土地代金の振り込み後だったことが発覚すると、冒頭の説明に変えたのである。

 政治献金→融資→個人的資金…。これだけ説明が変わるとは驚くばかりだが、小沢氏は記者会見で平然と「説明をそんなに変えたつもりはない。個人資産の中身まであえて公表する必要性もなかった」と語った。

 「特捜部では、小沢氏の地元・岩手県の胆沢ダム建設の工事受注をめぐる、ゼネコンからの裏献金が原資に充てられた可能性があるとみて、関係者の事情聴取を進めている」(司法ジャーナリスト)。

 第2は、多額の資金を手元保管していたこと。

 小沢氏は23日配布した文書で、1989年に2億円、97年に3億円、2002年に6000万円引き出し、東京・元赤坂の事務所金庫で保管していた−と説明している。

 その理由について、これまで小沢氏側は「バブル崩壊で銀行破綻が相次ぎ、ペイオフ(預金保護)解禁の論議が出たため」としてきたが、バブル絶頂の89年に引き出した理由は不明だ。

 総務省統計によると、当時の定期預金金利は4%以上。2億円の預金で単純計算すると、利息は年間800万円に上り、5年間預けておけば4000万円以上の利息を受け取れたという。

 第3は、小沢氏の事件関与について。

 小沢氏は先の会見で、「自分は全く把握していなかった」「その担当の者が行った」「私は関与したことはない」と語り、すでに逮捕されている公設秘書ら3人に責任を押し付けた。

 しかし、元私設秘書で民主党衆院議員、石川知裕容疑者(36)は特捜部の調べに、故意に政治資金収支報告書に虚偽記載したことを認め、「04年10月下旬に小沢先生に報告し、了承を得た」と供述。金融機関で4億円の融資を受けたことについても、「(土地購入の)原資を隠す偽装工作だった」と認めているという。この融資書類には、小沢氏自身の署名があったとされる。

 また、元私設秘書の池田光智容疑者(32)も「(収支報告書の)収入や支出の総額など小沢先生に報告していた」と供述した、と報じられている。これらが事実ならば、小沢氏が虚偽記載を把握していたとして「共犯」となる可能性がある。

 解消されない疑惑の数々。

 特捜部は、小沢氏の供述内容と、捜査で集めた証拠や関係者供述を突き合わせたうえで、3月末の公訴時効や、検察審査会の日程、逮捕許諾請求などの手順などを見据えて、早ければ2月上旬にも「逮捕」か「在宅起訴」「不起訴」といった最終決断を下す見込み。

 小沢氏周辺は「これまで、特捜部は都合良く情報をリークして世論を誘導してきたが、小沢氏は記者会見で十分説明した。日本経済の『二番底』が懸念される時、特捜部が政局を左右するのは許されない」と批判した。

 これに対し、検察関係者は「政権与党の幹事長を事情聴取する意味は重い。われわれは証拠に基づいて慎重に対応している。今月5日に最初の聴取要請をしたが、昨年末の時点で特捜部の大方針は決まっていた。マスコミにも漏れてない切り札がある」と自信を見せているが、果たして…。