【高野論説】"鼠一匹"も出ない? 小沢事情聴取ーー追い詰められているのは検察である
2010年01月25日14時57分 / 提供:THE JOURNAL
東京地検特捜部が目指しているのは、政治家=小沢一郎の抹殺すなわち議員辞職であり、それは無理だった場合でも、せめて幹事長辞職に追い詰めてその影響力を決定的に削ぐことである。
すでに逮捕されている3人の元秘書に対する容疑は、政治資金報告書の「不記載」(規正法第25条1項2号)や「虚偽記入」(同3号)など、平たく言えば「帳簿のつけ間違い」で、本来は、問題があれば修正すれば済む程度の経理係レベルの形式犯にすぎない。こんなことで3人を起訴すること自体、「言いがかり」に近い不当起訴であり、ましてや帳簿記載方法のいちいちを知るはずもない小沢本人に累が及ぶことではない。
もちろん、問題の土地を購入すること自体は小沢の指示・了解に基づくものであり、またそのための資金調達にも彼が携わっているのだから、仮に帳簿に何をどう記載したり記載しなかったりすることには直接関わっていなかったとしても、「不記載」や「虚偽記入」の「共犯」として小沢を起訴することは可能である。しかしこれもまだ形式犯の範疇であり、それで与党の大幹事長を失脚させようというのはいかにも無理な話である。
そこで検察としては、これが単なる「帳簿のつけ間違い」でなく、ゼネコンの裏献金を用いて土地を購入し、またそのような資金の出所を偽装するためにわざと銀行融資を立てるなど、小沢自身が指揮して行った極めて悪質な意図に基づく「帳簿操作」だったというお伽噺を作り上げる必要に迫られた。そのために、無理は承知で3人の元秘書を逮捕し、また小沢本人にも任意聴取を求めて、何とかしてこのデッチ上げの材料を掻き集めようと計ったのである。
これは無茶苦茶で、この大騒動の結果"鼠一匹"も出て来ずに検察が大恥をかくことになる公算が大きい。
●水谷からの5000万円?
検察がデッチ上げたいお伽噺の中核は、この購入資金に「水谷建設からの5000万円の裏献金が混じっている」ということだが、これがまず実証不能だろう。
第1に、水谷側の供述の信用性に大いに疑問がある。郷原信郎が指摘しているように、水谷側が検察の言いなりになって注文通りの供述をしている可能性がある。
第2に、一般論として、この手の公共事業で政商的な地方の中堅ゼネコンが大手スーパーゼネコン(この場合鹿島建設)の下に入って下請け仕事を請け負おうとする場合に、「ウチは前々から○○先生(この場合小沢)とは昵懇で、しかるべき手は打っておきましたから」とか「この地元はヤクザ(この場合岩手県の田舎ヤクザ)がうるさくて私のほうで始末しておきましたから」とか言って、その"実績"を手土産に下請けに入り込み、しかもそのための闇経費分を下請け工事代金に上乗せしてスーパーゼネコンから支給して貰っていたりする。ところが、てなことを言って中堅ゼネコンがスーパーゼネコンから裏工作資金の支給を受けても、実際には政治家やヤクザに金を払っていなかったり、もっと少ない金額を払っただけだったりして、全部または一部をネコババしているケースもある。
水谷あたりだとせいぜい年商100億円程度で、それで表献金として自民党政治家を中心に10億円も配っていては利益など吹っ飛んでしまう。そこで裏献金分のネコババが実質的な利益になったりするのである。そこを突かれると、裏支給を受けているスーパーゼネコンへの申し開きとしても、税務当局への言い逃れとしても、「いや、確かにあの政治家の秘書に金を渡しました」と言い張ることにならざるを得ない。従って、本当に水谷が石川にその5000万円を渡したかどうかは分かず、「受け取っていない」と言っている石川が正しいのかもしれない。
すでに逮捕されている3人の元秘書に対する容疑は、政治資金報告書の「不記載」(規正法第25条1項2号)や「虚偽記入」(同3号)など、平たく言えば「帳簿のつけ間違い」で、本来は、問題があれば修正すれば済む程度の経理係レベルの形式犯にすぎない。こんなことで3人を起訴すること自体、「言いがかり」に近い不当起訴であり、ましてや帳簿記載方法のいちいちを知るはずもない小沢本人に累が及ぶことではない。
もちろん、問題の土地を購入すること自体は小沢の指示・了解に基づくものであり、またそのための資金調達にも彼が携わっているのだから、仮に帳簿に何をどう記載したり記載しなかったりすることには直接関わっていなかったとしても、「不記載」や「虚偽記入」の「共犯」として小沢を起訴することは可能である。しかしこれもまだ形式犯の範疇であり、それで与党の大幹事長を失脚させようというのはいかにも無理な話である。
そこで検察としては、これが単なる「帳簿のつけ間違い」でなく、ゼネコンの裏献金を用いて土地を購入し、またそのような資金の出所を偽装するためにわざと銀行融資を立てるなど、小沢自身が指揮して行った極めて悪質な意図に基づく「帳簿操作」だったというお伽噺を作り上げる必要に迫られた。そのために、無理は承知で3人の元秘書を逮捕し、また小沢本人にも任意聴取を求めて、何とかしてこのデッチ上げの材料を掻き集めようと計ったのである。
これは無茶苦茶で、この大騒動の結果"鼠一匹"も出て来ずに検察が大恥をかくことになる公算が大きい。
●水谷からの5000万円?
検察がデッチ上げたいお伽噺の中核は、この購入資金に「水谷建設からの5000万円の裏献金が混じっている」ということだが、これがまず実証不能だろう。
第1に、水谷側の供述の信用性に大いに疑問がある。郷原信郎が指摘しているように、水谷側が検察の言いなりになって注文通りの供述をしている可能性がある。
第2に、一般論として、この手の公共事業で政商的な地方の中堅ゼネコンが大手スーパーゼネコン(この場合鹿島建設)の下に入って下請け仕事を請け負おうとする場合に、「ウチは前々から○○先生(この場合小沢)とは昵懇で、しかるべき手は打っておきましたから」とか「この地元はヤクザ(この場合岩手県の田舎ヤクザ)がうるさくて私のほうで始末しておきましたから」とか言って、その"実績"を手土産に下請けに入り込み、しかもそのための闇経費分を下請け工事代金に上乗せしてスーパーゼネコンから支給して貰っていたりする。ところが、てなことを言って中堅ゼネコンがスーパーゼネコンから裏工作資金の支給を受けても、実際には政治家やヤクザに金を払っていなかったり、もっと少ない金額を払っただけだったりして、全部または一部をネコババしているケースもある。
水谷あたりだとせいぜい年商100億円程度で、それで表献金として自民党政治家を中心に10億円も配っていては利益など吹っ飛んでしまう。そこで裏献金分のネコババが実質的な利益になったりするのである。そこを突かれると、裏支給を受けているスーパーゼネコンへの申し開きとしても、税務当局への言い逃れとしても、「いや、確かにあの政治家の秘書に金を渡しました」と言い張ることにならざるを得ない。従って、本当に水谷が石川にその5000万円を渡したかどうかは分かず、「受け取っていない」と言っている石川が正しいのかもしれない。
1 | 2 |
Ads by Google
コメントするにはログインが必要です
関連ニュース:東京地検
- 【高野論説】"鼠一匹"も出ない? 小沢事情聴取ーー追い詰められているのは検察である THE JOURNAL 01月25日14時57分(26)
- 検察リーク過熱「小沢共犯」報道は本当なのかゲンダイネット 01月25日10時00分(9)
- 小沢報道でメディアが果たすべき説明責任永田町異聞 01月25日09時35分(4)
- 田原・堀江が「生討論」 「ニコニコ動画」で小沢問題J-CASTニュース 01月23日17時09分(2)
- 取り調べ可視化法案の成立を急げゲンダイネット 01月24日10時00分(1)
- << 党大会
- 国内一覧
- [衆院予算委]2次補正通過… >>
国内アクセスランキング
- 【親方日の丸な人々】公務員の悩み「残業」Techinsight Japan 25日09時30分(31)
- 不倫、浮気…危険な恋ほど燃えるワケ
All About 25日10時46分(15)
- [石川議員]「本当のことを言うしかない」逮捕前夜、父に毎日新聞 25日10時11分
- 「Twitterは公式の発言なんですか?」――原口総務相記者会見
Business Media 誠 25日11時40分(6)
- 【高野論説】"鼠一匹"も出ない? 小沢事情聴取ーー追い詰められているのは検察である THE JOURNAL 25日14時57分(25)
- あの小悪魔agehaモデル絶賛の超簡単美容法とは?TREND通信 25日09時00分
- 【ワイドショー通信簿】ゴマキ母の死の理由 娘に「ほのめかした」こと
J-CASTテレビウォッチ 25日11時14分
- ゴマキ母が告白していた「死にたい」2つの理由スポニチ 25日12時28分
- 大マスコミ今度は原口総務相を袋だたきゲンダイネット 25日10時00分(19)
- ゴマキ母飛び降り自殺、衝撃の真相!昼から酔って大声も
ZAKZAK(夕刊フジ) 25日17時00分
注目の情報