米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設受け入れの是非を争点に無所属2人の一騎打ちとなった名護市長選は24日投開票され、移設に反対する新人で前市教育長の稲嶺進氏(64)=民主、共産、社民、国民新、沖縄社会大衆推薦=が、条件付きで容認する現職の島袋吉和氏(63)=公明支持=を破り、初当選が確実になった。稲嶺氏は「公約を信念をもって貫く」と表明。これにより、同市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部を移設先とした現行計画の実施は、困難な情勢となった。
反対派の勝利を受け、5月までに結論を出すとした鳩山由紀夫首相は、辺野古以外の候補地の検討を急ぐ。しかし、米国は現行計画の履行を強く求めており、日本側が新たな移設先を提示しても、合意に至る見通しは乏しい。普天間をめぐる混迷は一段と深まり、1996年に日米が合意した飛行場返還そのものが白紙に戻る可能性もある。
市長選は任期満了に伴うもので、投票率は76.96%で、前回を1.98ポイント上回った。
稲嶺氏は同市内の事務所で「辺野古の海に基地を造らせないという約束で戦った。県内でのたらい回しはやめてほしい」と述べ、「県外移設」を要求した。一方、島袋氏は自民党の支援も受け、地域振興に取り組んできた実績を訴えたが、及ばず、普天間移設に関して「国がきちんと結論を出してほしい」と語った。
[時事通信社]