非国民通信

未来なんてあるわけがない

自民か民主かで態度を変える人も目立ちますが

2010-01-24 23:02:21 | 編集雑記

 例えば日本の戦争責任が問われている場面で、熱心に欧米列強など他国の侵略について語り出す輩がいたらどう思いますか? 欧米諸国(あるいは戦勝国)にも戦争責任はあります。しかし、それを問うべき場面と、そうでない場面は当然あるはずです。日本の戦争責任を相対化する意図を持って他国の問題を持ち出す人がいたら、それは大いに軽蔑されるべきです。では、与党幹部の疑惑が追及されている場面で、突如として野党幹部の疑惑を持ち出す人がいたとしたらどうでしょうか?

 そうでなくとも権力を握っている人(=与党)には相応の監視が必要なわけで、各方面から常に厳しい目を注がれるのが当然と私なんかは思っているわけですが、その筋の人はいわば「裏の権力」みたいなものを信じているせいでしょうか(参考)、それとも長らく政権交代がなかった製で「野党ボケ」しているのでしょうか、自身(自身の支持政党)こそが権力であるという自覚に乏しいようです。無力な個人のプライバシーを重んじるような感覚で公権力まで保護せよと言わんばかりの論調には呆れるほかありません。

参考、権力に与えられるべきは自由ではなく監視

 あるいは「飛行機は墜落するから、飛行機に乗る人は欺されている」と言い出す人がいたらどうでしょうか? なるほど、飛行機は墜落する こ と も あ り ま す。とはいえ、当然のことながら墜落しないこともあって、その上で飛行機に乗るかどうかは個人の判断、飛行機が墜落することを前提とした議論には意味がありません。では「検察は誤っている、だから小沢が追求される謂われはない」とばかりに言い出す人がいたとしたらどうでしょうか? いやいや、検察が誤ることも当然ありますが、何の根拠もなく捜査の誤りを前提とする方がどうかしています。

 つい先日、平沼赳夫は事業仕分け関連で蓮舫を「もともと日本人じゃない」と否定の文脈で語りました(参考)。事業仕分けに関しては私も否定的ですが、しかし仕分け人が「日本人」であるかどうかは無関係です。むしろ仕分けの何が問題なのか、そこを論議することから逃げていると言っていいでしょう。では「検察官僚が悪だから」みたいな論調はどうでしょうか? たしかに相手を悪者に仕立て上げるというのは最も簡単であり、かつ効果的であることが実証された方法論です。抵抗勢力なりなんなり、相手を改革に反対する「敵」に見せかけることが出来れば、後は何でもやりたい放題でした。それだけに、こうした方法論を採ろうとする輩にこそ警戒が必要だと思うのですが……

 権力が隠していることを暴く上で、どこまで現行の法律は遵守されるべきなのでしょうか。政府与党が「存在しない」と言い張る密約文書を非正規のルートで暴いたら、それは○○の横暴として糾弾されるべきものだと思いますか? あるいは調査(自称)捕鯨団が秘密裏に鯨肉を横領していたとして、それを暴くのに非合法な手段を執った場合は不法行為として裁かれるべきなのでしょうか? 政府与党がひた隠しにする事実を官僚が漏らしたら、それはリークとして罪に問われるべきものなのでしょうか? 個人と公人、権力を持たない人間と権力者は同列に論じられるべきものではないはずです。

 よほど熱心な民主党支持層かファナティックな官僚嫌いでもなければ覚えていると思いますが、自民党議員も当然のことながら疑惑の追及を受けてきました。中には「不公平だ、日本ばかりが責められるのはおかしい」ならぬ「民主党ばかりが責められるのはおかしい」と言い出す歴史修正主義者の同類もいますが、実態はと言えば「与党(+次期与党)」の議員が追求を受けてきたと見ておくべきでしょう。とりわけ安倍内閣の後半期には毎月の定例のように金銭問題で辞任を迫られる大臣が続出していたわけです。そして私は今回の件で少しだけ反省しています。かつて自民党議員が疑惑を追及されていた時、私は追求する側の言い分にしか耳を傾けてこなかった、追求される側の弁明には耳を貸してこなかったな、と。

 かつて自民党議員の疑惑が追及され、その証拠がつかめなかった時、その自民党議員は白だとあなたは判断したでしょうか? なるほど個人なら話は別です。証拠もないのに誰かを有罪視することは許されません。しかし個人と公人、一市民と政治家とりわけ与党幹部は別です。権力を手にする者は相応の責任を負うべきものです。証拠さえつかませなければセーフで済まされるものではありません。「黒ではない」人が選良に相応しいとは言えないはずです(例えば官房機密費をどう使い込もうが有罪にはなりませんが、有罪でないから批判されるのはおかしいと思いますか?)。必要なのは、全てを明らかにすることであり、検察を悪玉に仕立て上げてこの場を乗り切ることではありません。「疚しいこと」がなければ全てを明らかにし周囲を納得させること(政府与党の政治家である以上、自分たちの主張を伝える機会は常に担保されているのですから)、これ以外に取るべき道はないでしょう。情報漏洩対策云々と与党内では喧しい人もいるようですが、むしろ必要なのは情報公開のはず、自民党が隠したものだけではなく、民主党が隠そうとしているものだって明らかであるべき、それが政治の理想のはずです。

 

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