小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の土地購入を巡る事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕された同党衆院議員、石川知裕容疑者(36)=北海道11区=の父勲さん(70)が24日、北海道足寄町の自宅で記者会見し、心境を明らかにした。勲さんは「(刑事責任は)裁判所が決めることだからそれは受け止める。何としても汚名を返上して、有権者の期待に応えてほしい」と語った。
勲さんは逮捕直後は取材を一切断っていたが、「事件を巡る情報が整理されつつある」として会見に応じた。
石川議員は3人兄弟の末っ子として生まれた。中学時代に歴史年鑑を愛読し、高校生のころには政治に自然と興味を抱いた。早稲田大では政治サークルに所属。小沢氏の事務所関係者と知り合ったことがきっかけで、小沢氏の書生となった。
私設秘書になってからも、盆と正月以外は2、3日しか休まず「寝る以外はすべて仕事だったようだ」。小沢氏への忠誠心は強く、党首を務めていた新進党が解散し、先輩秘書が次々と辞めていったときも「人間として裏切り途中で投げ出すことなんてできない。どんな事があっても先生についていく」と話していたという。
そんな石川議員も、05年衆院選で党の候補者に応募したときは、小沢氏の命令を聞かなかった。当時、北海道11区の現職は自民党の故中川昭一氏(09年10月死去)。小沢氏は勝つのは困難と考えており「おれは許していない。選挙に出て2回落ちると政治生命は終わりだ」と反対した。許しを得て出馬したものの落選。繰り上げ当選を経て昨夏の衆院選では、中川氏に約3万票差を付けて勝利した。
「父さん、もう検察が怒ってどうにもならない。本当のことを言うしかない」。逮捕前日の14日深夜、勲さんのもとに石川議員から電話があった。「議員の立場を失うことを恐れ、虚偽記載は故意ではなくミスだと言い張っていた。これではいけないと悟ったのだろう」。息子にはいまはこう言いたい。「自分が犯したのが間違った事務処理であれば、真実を明らかにするべきだ」【田中裕之】
毎日新聞 2010年1月24日 23時54分