コラム

勝手補佐官 平成12年8月〜平成13年4月

2000年12月27日

「そんなに私が悪いのか!?」

 テレビ朝日系列で「そんなに私が悪いのか!?」という番組があるのをご存知です か?
 この番組は「世間やマスコミから一方的に『悪』のレッテルを貼られている人 を、もう一度違う角度から検証して汚名を晴らす」のが趣旨だとか。

 先月は「森総 理」を取り上げ、小泉純一郎さんが森総理の汚名を晴らす役で出演されたそうです が、今月は私にも出演依頼がまいりました。
 汚名を晴らす対象は、ナント!「松浪健四郎代議士」でありました。民主党議員の 野次に怒って本会議場でコップの水をぶちまけ、懲罰委員会にかけられて登院停止処 分を受けたあの方です。

 あの事件の日の本会議場は内閣不信任案採決が案件でし た。開会直前に加藤派と山崎派が「欠席」方針に転向し、クーデターは頓挫。粛々と 不信任案を否決する段取りだったのです。
 ところが松浪健四郎代議士のお陰で、本会 議は長時間に渡って中断。「この中断の間に加藤さんたちの気が変わって本会議場に 戻ってきたらどうしよう!」と気を揉んだものでした。採決が終わって家に帰るとも う明け方で、翌日は体調ガタガタ。

 私だって大迷惑をこうむったわけですし、本会 議場でコップの水をぶちまける行為が正しいはずもなく、全国ネットの番組で自分の 評判を落としてまで松浪代議士をかばってあげる必要など無かったのです。
 それでも 敢えて、私はその番組にVTR出演をすることにしました。あの日、民主党議員が松 浪代議士に浴びせかけた野次こそが、神聖なる職場を冒涜するものだと思ったからで す。

 あの一件を報じた殆どのマスコミが紹介していた野次の内容は「ちょんまげ野 郎!」というものでした。この程度の野次は日常茶飯事ですから、松浪氏も暴挙に出 るはずはありません。
 彼が怒った野次は別のものでした。(あまりにも下品すぎ て、嫁入り前の身でこれを書くのは忍びないのですが)それは「お前、扇と何発やっ たんだっ?」という野次でした。
 扇というのは松浪代議士が所属する保守党党首の 扇千景大臣のことです。この野次は、本会議場に居た多くの議員が耳にしています し、民主党席に近い大臣席に座っていらした扇大臣にはハッキリと聞こえたはずで す。女性政治家にとってこれ以上に残酷なセクハラはありません。
 例えば、私が本 会議場で演説中に「お前、総理と何発やったんだ?」と野次を浴びせられたとしたら !
 私ならコップの水で済まなかったと思います。きっとコップごと投げつけて、議 長には「私の処分は覚悟の上だが、下劣な野次で女性政治家を冒涜した民主党議員も 処分して下さい!」と、その場で叫んでいたことでしょう。
 私のインタビュー内容 に驚いたテレビ局が当日の議場での録音をチェックし直したら、しっかりとその野次 が入っていたそうです。「こんな番組も必要かもしれない!」と思った一件でありました。


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