グループの始祖
岩崎弥太郎が「汚すぎる」
NHK大河ドラマ「龍馬伝」に「三菱」がブーイング
(週刊朝日 2010年1月29日号配信掲載) 2010年1月20日(水)配信
坂本龍馬を人気俳優・福山雅治が演じる今年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」。初回視聴率は23・2%(関東地区)と、まずは順調なスタートだが、なかには苦々しい表情で見ている人たちもいるようだ。ドラマで龍馬に次ぐ重要な登場人物である岩崎弥太郎が創立した、三菱グループの関係者たちである。「我らの始祖が汚すぎる!」というのだ。
都内にある三菱関連の施設で1月6日、グループ各社の最高首脳とOBが集まる賀詞交歓会があった。その場は、NHKの大河ドラマ「龍馬伝」の話題でもちきりだったという。
今回のドラマの主人公は、幕末の薩長同盟や大政奉還の立役者である坂本龍馬。そして、龍馬と同じ土佐藩出身で、三菱財閥の創始者である岩崎弥太郎が、龍馬とともに成長し、龍馬の生涯を語るつくりになっている。グループの創始者が準主役といえる扱いで登場するだけに、三菱の首脳やOBたちの間には、
「2010年は事業活動以外にも、社会の注目を浴びる年になるね」
などと早くから期待を込める声が多かったという。
だが、この賀詞交歓会の3日前、1月3日の初回放映を見た首脳やOBからは、失望や不満の声が漏れた。
「思った以上に汚い格好で出てきたな。もうちょっと何とかならないのか」
「史実は、ここまでひどくはなかったんじゃないか」
演技派俳優の香川照之が演じる弥太郎は、ボロボロに破れた服を着て、髪はボサボサ、歯はガタガタ、鳥かごを背負って売り歩く、最下層の武士だった。
しかも、心を惹かれる娘は龍馬に好意を寄せ、上級武士に斬り捨てられそうなときには龍馬に救われ、回想シーンでは龍馬を「いちばん嫌いな男やった」とふり返る。龍馬の引き立て役のような存在なのだ。
「武士の最下層からのし上がった弥太郎だから、龍馬との対比で貧しく描かれるのはしかたない。しかし、あそこまで極端に汚くする必要はないんじゃないかという声は三菱の中にある」(三菱グループ関係者)
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