半藤一利
『昭和史 1926-1945』
文庫本化された名著である。
堅苦しい題名ではあるが、中身は大変分かりやすい授業の形式で、語りかけるように書かれている。実際に「昭和史の初心者」に1年間講義した内容を収録したものである。
『昭和史 1926-1945』の通り、これはその上巻にあたり、終戦までをカバーしている。
日本がどうしてあの無謀とも言える太平洋戦争に突入せざるを得なかったかを時代を追って説明していく。その時起こった事件や事変を巧みに織り込みながら。読み進めるほどに、今まで点で覚えていた歴史のエポックが見事に頭の中で次々につながっていく。
500ページ以上ある厚い文庫本ながら、語り口に引き込まれ読み進んでしまう。昭和初期の宿命に心打たれつつ、得るところ大きい名著だ。
今は別著『[真珠湾]の日』を読書中。