しかし「忙しくて」というのは、今のご時世、ありがたいことなのかも知れない。
半藤一利
『[真珠湾]の日』
今年もまた終わりの月に入り、「その日」が近づいている。
最近では12月8日といえば「ジョン・レノンの命日」のが先に浮かぶようになってしまったが、これを忘れてはならない。
12月8日(日本時間)=真珠湾攻撃の日、である。
先日、半藤一利の『昭和史』を読み終え、その余韻に浸るヒマもなくこの日に間に合わせるべく『[真珠湾]の日』を昨日完読した。
500ページ以上の量は何てことはないのだが、次々にクローズアップされる登場人物や階級、経緯が覚え切れず、何回か前に戻って確認しながらなので、一週間以上かかってしまった。
胸があつくなる思いである。
日米開戦までのギリギリの外交交渉とその決裂までの当事者の交錯が、原寸大でこと細かく、かつダイナミックに記されている。真珠湾攻撃は「ハワイが標的」という意味では奇襲であったが、何の前段階もなくいきなり12月8日に始まったわけではなかった。
戦後の日本は、戦前戦中のすべてを否定することから始まった。今の考え方もそうだ。しかし…、本当にそうだろうか。戦争を回避せんと必死で交渉を続ける人、また愛する国、愛する人を守らんと命を懸けて戦う人に思いを寄せねばなるまい。
日本はどこで道を誤ったのか…、深く考えさせられる一冊だった。