カリブ海のハイチを襲った大地震から10日余りが経過した。被害状況が次第に判明し、首都ポルトープランスを中心に死者は11万人を超え、被災者は300万人に上るとみられている。
大統領府の建物も崩れ、6年前から活動していた国連平和維持活動(PKO)の部隊にも多数の犠牲者が出た。政府機能はまひし、略奪が起きるなど治安は悪化している。衛生状態の悪さから感染症の流行も懸念されている。
各国が連携し強力な支援を継続することが必要だ。日本も積極的に役割を果たしたい。
スピードが求められる緊急支援の面では日本の対応に遅れがみられた。地震発生の翌日、政府は現地の状況を把握するため調査チームを派遣した。しかし、この報告を待って援助隊の医療チーム24人は出国したため、現地入りは発生から6日目となってしまった。
22日の衆院予算委員会では自民党から「遅すぎる」と批判され、岡田克也外相は現地の治安の悪さを理由に理解を求めたものの、「もう少し早く派遣できなかったか検証したい」と言わざるを得なかった。
被災地は日本から遠いとはいえ、隣の中国はいち早く救助隊60人を派遣し、発生3日目に現地で活動を始めるなど存在感を見せた。国際救援活動では実績のある日本が、積極姿勢を示せなかったのは残念だ。
負傷者の治療に加え、今後は中長期的な復興支援も求められる。政府は約110人の援助隊を追加派遣した。表明済みの支援額(約4億5000万円)も国連の要請などを受け、積み増す方針という。
効果的な支援には各国との調整も欠かせまい。刻々と変わる被災地のニーズに対応しながら最大限の支援を進めたい。