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社説

中国ネット規制/世界の理解は得られない 

 米インターネット検索大手のグーグルが、中国政府による検索サービスへの検閲に反発し、対決姿勢を鮮明にしている。中国政府と協議を続けているが、このままでは中国からの撤退も辞さない構えだ。

 「表現の自由」は民主主義の根幹にかかわり、ウェブサイト上の表現や情報へのアクセスも例外ではない。グーグルの対応を支持する米政府と、外交問題にしたくない中国政府との攻防も激しくなってきた。中国政府は、表現の自由を規制するような検閲を続けるべきでない。

 グーグルが先ごろ発表した談話によると、グーグルだけでなく金融やメディアを含む最低20社の大手企業も巧妙なサイバー攻撃を受けた。中国に加えて欧米でも、人権活動家のメールアカウントへの攻撃や、第三者による侵入があったとされる。

 グーグルは、攻撃を仕掛けたのが誰かを示していないが、中国政府の関与を疑っているのは明らかだ。攻撃元となったサーバーなどが中国政府関係者のものと同じだったとの民間調査結果もある。

 これに対し、中国外務省は「われわれのネット管理は、国際慣行に合致している」として、対応に問題はないとしている。

 グーグルは2006年に中国事業を本格化させた。ある程度の検閲を受け入れても、利用者が多様な情報にアクセスできる利益の方が大きいとの判断からだ。昨年末時点の検索サービスシェアは、中国企業「百度」の56%に対し、グーグルが43%と猛追している。ここで撤退することになれば、民主化の進展や自由を求める中国国民の不満が一層高まるかもしれない。

 中国では、08年3月にチベット自治区ラサで暴動が起きたとき、動画投稿サイトの閲覧やネットへの接続が断たれた。昨年の建国60年のときもネット規制を強め、政府批判の声を封じ込めたとされる。クリントン米国務長官が「サイバー攻撃をする国は、国際的な非難に直面するだろう」と述べたのも、人権を軽視してきた中国の姿勢をにらんでのことだろう。

 世界同時不況のなか、中国は高成長を持続し、世界での存在感を高めている。ただし、自由な経済活動は認めても、ネット検索やメールのやりとりの自由は認めないというのなら、国際社会から理解や信頼は得られない。

 国民の人権を尊重し、社会の安定を促すためにも、中国政府は表現や言論の自由を重視する姿勢へかじを切るときだ。

(2010/01/24 10:21)

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