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社説

小沢幹事長聴取/説明責任終わっていない

2010年01月24日 01:50
 民主党の小沢一郎幹事長が東京地検特捜部の任意聴取を受けた。小沢氏は政権与党の幹事長であり、権勢は絶頂にある。その「時の人」が聴取されること自体、衝撃は大きい。土地購入事件の真相解明がまずは急がれる。同時に政界から「政治とカネ」の問題を一掃するため、与野党の全議員が真剣に話し合いを始める機会としなければならない。

 この事件をめぐっては、小沢氏の元私設秘書で衆院議員の石川知裕容疑者ら3人が逮捕された。核心は土地購入資金の原資である。ゼネコンからの裏献金が含まれていたのか。収支報告書に虚偽記入したとの認識はあったのか。

 小沢氏は聴取前、「近々に国民の理解を得る状況をつくれる」と自信を示していた。何らやましいことがなく元秘書らの無実も信じるなら、もっと早い段階で応じ、それを証明すればよかったはずだ。その点では対応に疑問が残る。

 焦点は聴取後の展開に移る。小沢氏は直後に会見し、検察への説明内容を明かした。これも異例のことだ。説明不足との国民の声が圧倒的なことを考慮したのだろう。

 会見によれば、聴取に対しては「不正な裏献金は一切もらっていない」とし、収支報告書の記載も全く把握していないと伝えた。土地購入費は手持ちの資産を充てたことをあらためて説明したという。完全否定である。

 これが事実であり、罪のないことが分かれば捜査は終結に向かう。その場合、検察の捜査姿勢が問われる事態ともなろう。逆に小沢氏が関与していた疑いが強まれば立件は必至だ。鳩山政権が受けるダメージは計り知れない。

 大きなヤマ場を迎えた捜査の行方は予断を許さない。真実はどこにあるのか、国民の関心はその一点である。

 ただ、ここまでの経過を見ると、民主党が小沢氏をかばい、党全体として検察と戦うかのような印象ばかりを国民に与えている。

 筆頭は鳩山由紀夫首相である。“同志“として徹底擁護する姿勢を鮮明にし、「どうぞ戦って」と激励した。さらに、発言は撤回したものの石川容疑者に関して「起訴されないことを望みたい」と述べた。捜査に対する圧力の意図はなかったにせよ、行政府の長としていかにも軽率だった。

 その首相自らも、政治資金の管理が極めてずさんだったことが明らかになっている。小沢氏を擁護するばかりでなく、国民から疑念を持たれることがないよう政治資金規正法の抜け道をなくす方策を早急に打ち立てるべきである。

 これまで「政治とカネ」に関して個別の問題が持ち上がるたびに対症療法が取られ、抜け道が残されてきた。そうした過去は断ち切らなければならない。政治を変えるとして政権交代を果たした民主党には、率先して取り組む責任があるはずだ。

 野党が求めている「政治とカネ」の集中審議は速やかに実現させるべきだ。小沢氏自身も会見で幕引きとせず、国会の場で説明する機会がもっとあっていい。国民に向けても、さらに言葉を尽くして話す必要がある。

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