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社説:小沢氏聴取 政権の土台がぐらつく
民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の収支報告書虚偽記入事件が、大きなヤマ場を迎えた。今や政界に最も影響力を持つ小沢氏が、ついに東京地検特捜部の任意の事情聴取を受けたのである。
何しろ与党の現職幹事長の聴取である。秘書や元秘書ら3人が逮捕された上、自らも聴取を受けたことで、鳩山政権に重大な影響が出ることは不可避とみるのが妥当だ。
聴取のポイントは、大きく言って2点に絞られる。陸山会が2004年10月に東京・世田谷の土地を購入する際に小沢氏が提供したという4億円の原資、そして収支報告書の虚偽記入への関与や認識である。
聴取後の記者会見で小沢氏は、4億円はあくまで個人資産であり「不正な裏献金など一切ない」と強調、虚偽記入への関与も否定した。事件とは無関係とする従来の主張を貫いたことは、むしろ予想通りといえる。
こうした否定は、検察側としても織り込み済みだったろう。4億円にはゼネコンの裏金5千万円が含まれ、虚偽記入に小沢氏が関与していた—。これが、検察側の抱く疑いである。
今後は、報告書の偽装工作を小沢氏に伝えたとほのめかしているという元私設秘書の衆院議員石川知裕容疑者らの供述と照らし合わせながら、詰めの捜査が続くことになる。
問題は、小沢氏が国民に向かってきちんと説明していないことだ。今回の記者会見がいくら国民向けといっても、これで納得する人がいるだろうか。
なぜ不自然なカネの動きがあったのか。政治倫理の観点からも、やはり国会の場で十分に説明すべきである。
一連の動きの中で気になったのは、事件の中身もさることながら、鳩山政権の軽さ、そして政権を支える民主党の閉鎖性を図らずも露呈したことである。
まず鳩山由紀夫首相の発言だ。小沢氏に対して「どうぞ戦ってください」と言い、石川容疑者に関しては「起訴されないことを望みたい」と言ったかと思えば翌日に撤回する。不適切かつ軽い対応であり、首相としての資質が問われる事態だ。
閣僚から報道批判が飛び出したことには、がくぜんとするほかない。
民主党の閉鎖性に関して言えば、事件が表面化して以来、「物言わぬ集団」と化したことには驚きと失望を禁じ得ない。小沢氏を擁護するあまり、真相解明を求める声がほとんど出ないのは異常である。「透明性ある政治」を訴え多くの国民に支持された政党とは思えない。
結局、同党は「二重権力構造」といわれながらも、実態は「小沢支配」であるという印象を国民に与えたのは間違いない。
捜査の行方は冷静に見守るしかない。しかし捜査とは別に、鳩山政権と同党がこうした姿をさらけ出したことで、政権の土台は明らかにぐらついている。
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