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参院選まで5カ月 ニュー自民党示せるか


 参院選は国会延長がなければ6月16日に閉会し、同24日に公示、7月11日が投開票となる。5カ月後に迫った。

 与野党にとって、最終的な「政治決戦」となる。ことに自民党は反転攻勢のきっかけをつかめなければ、党存続の危機を迎えるだろう。自民党大会がきょう開かれる。生まれ変わった「ニュー自民党」を打ち出せるかどうか。

 自民党の政権構想会議は昨年12月、新たな党の基本理念に関する勧告をまとめ、谷垣禎一総裁に提出した。最大のポイントは「中央統制的な国家社会主義的政党と戦う」−と民主党を意識した対決姿勢を鮮明にしたことだ。

 しかし、肝心の自民党の役割については「冷戦崩壊で立党目的の一部を達成した」と腰が引けている。目指すべき国家像も「国民生活への過剰介入を認めない」「不必要なことをせぬ政府」など、どうにも歯切れが悪い。

 品格ある日本を目指し、自律と秩序ある市場経済、地域社会と家族の再生−などの言葉が並ぶが、「自立した個人」や「公助と共助」という理念は分かりにくい。勧告を受けた執行部は従来の「小さな政府」路線を修正した。

 はっきり言って、勧告内容は有権者の心に響かない。舛添要一前厚労相は「歴史的役割は終わった」と断定した。その舛添氏は「古くなって国民から見捨てられた政党を再生しても駄目だ。新しく(党を)つくる気構えがないといけない」と、選挙前の新党結成も排除しない考えだ。

 年末から所属参院議員の離党が相次ぐ中で70歳を超える議員の公認問題など、相変わらず「古い体質」を引きずっている印象を与える。

 谷垣総裁は「基本理念、国家ビジョンをつくり直し、党再生のスタートを切りたい」と参院選に臨む決意を語る。「政治とカネ」の追及もいいが、党内の足元固めと併せ、弱体化した地方組織や支援団体の立て直しが急務だ。「敵失」だけでは展望がない。

 参院議員(定数242人)の改選議席は選挙区73人、比例代表48人の計121人。非改選と合わせ122議席が過半数となる。民主党は非改選議席が62のため、改選53に7上積みして60議席を獲得すれば単独過半数に達する。

 一方、自民党は現在78議席(非改選36)。公明党、共産党、改革クラブが現有勢力並みの議席を維持し、民主党と連携しないと仮定した場合、自民党が改選議席42に11を上乗せ53議席を得れば与党を過半数割れに追い込める。

 鳩山内閣の支持率が発足当初の70%超から40%台まで急落しているにもかかわらず、自民党支持率が伸びていないのが世論の現実だ。

 1995年の綱領改定で表明した「小さな政府」に代わり「すべての人に平等な政策を実行する政府」と改めた。小泉構造改革で拡大した格差や市場原理主義の総括は十分に行われたのかどうか。

 ニュー自民党の党内論議とともに参院選を前にした新党結成の動きが気になる。

宮沢徳雄(2010.1.24)

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