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社説

自民党大会 「古い殻」を破ってこそ(1月24日)

 自民党大会がきょう東京都内で開かれる。

 昨年夏に政権を失った後初めての党大会だ。党再生に向けた熱い論議を交わしてもらいたい。

 きのう民主党の小沢一郎幹事長の資金疑惑で、東京地検の事情聴取が行われた。鳩山由紀夫首相の偽装献金事件とともに、自民党は久々に勢いづいている。「資金問題を追及し夏の参院選につなげたい」。党内からはそうした声が聞こえてくる。

 小沢氏らの問題を解明することは重要だ。だが敵失頼みでは展望は開けない。それは世論調査が物語る。鳩山内閣の支持率は落ちてきたが、自民党の支持率も上向いていない。

 長く政権の座にあった自民党が改革を怠り、政治・行政が行き詰まった。それが政権交代につながった。

 政権転落から4カ月余。党大会では政権を取り戻すビジョンと体系だった政策、そして気概を示す必要がある。にもかかわらず、その態勢が整ったとは言い難い。

 たとえば4年ぶりに改定する綱領だ。軸となる政府のあり方を「小さな政府」から「すべての人に公正な政策を実行する政府」に替える。

 「小さな政府」は構造改革を推し進めた小泉純一郎政権が掲げたものだ。「官から民へ」の掛け声で結果的に格差を広げ、地方の疲弊も招いた。そのマイナスイメージをぬぐいたい。それが修正の理由だという。

 だが自民党が構造改革を正面から論じ合ったということは聞かない。対立の表面化を避けて検証を先送りしてきた。文言を替えただけでは、国民の支持は得られまい。

 何より「公正な政策を実行する政府」とはいかなるものか。国をどう導くのか。肝心の点が見えてこない。検証作業を抜きにして新生自民党をアピールできるわけがない。

 「過去」を引きずる姿は参院選の候補者選考でも見てとれる。問われているのは、新しい政治を切り開く人材をいかに擁立していくかだ。

 だが現状は75歳になる青木幹雄前参院議員会長らベテランが公認され、新生の印象とはほど遠い。

 鳩山政権は試行錯誤している。初めての予算編成では財源難と財政赤字に苦しんだ。米軍普天間飛行場の移転問題も着地点が見えない。

 これらは自民党が長年放置してきた「負の遺産」だ。自民党が解決策を示さないのでは、政権奪還を目指すという言葉にも説得力を欠く。

 目の前の政策課題に対応し、その上で国の将来像をどう描くのか−。

 谷垣禎一総裁は党大会で構想を語るべきだ。それを基に論議を重ね、「古い殻」を破って、新たな指針を練り上げる。党の再生にはそうした地道な作業が必要だ。

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