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新型ワクチンだぶつく 接種1回に変更で 輸入予定通り

2010年1月18日13時44分

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 欧州2社製の新型の豚インフルエンザのワクチンを緊急輸入することが決まり、2月から使われる。予定量は9900万回分(成人換算で9900万人分)だが、国内では昨年10月から流通が始まった国内産ワクチン(同5400万人分)さえだぶつき気味だ。

 年間約1800件のお産を扱う愛育病院(東京都)は年明け、新型ワクチン接種を案内する張り紙を掲げ、チラシを配り始めた。700人分余の在庫を抱え、1月以降の入荷予定はキャンセルした。

 昨年11月は品薄感が強かったが12月に余り気味に。妊婦向けワクチンの使用期限は国の検定合格後6カ月。「5月までに使わないと」と病院。

 東京都江東区では、昨年12月に区内2カ所で4回ずつ集団接種したが、申し込みの8〜9割程度だった。

 余り気味の要因は接種回数の変更。当初、人類に感染経験のないインフルなので1回では十分でなく2回必要だと考えられていた。ところが欧米の臨床試験の中間報告が昨年9月に出始めると、成人は1回で十分な免疫がつくとわかった。日本でも、11〜12月に接種回数が見直され、13歳未満以外は妊婦も含めて1回接種に変わり、1人の量で2人打てることになった。

 子どもが大勢、感染して予防策の需要が減ったこともある。厚生労働省によると、1月3日現在で4歳以下は約4割の205万人、5〜14歳は約8割の960万人が感染したとみられる。

 流行も下火だ。国立感染症研究所の15日の発表では全国5千カ所の定点医療機関を受診した患者は1医療機関あたり9.18人。「注意報発令」の目安の10人を下回った。

 今回のワクチンは、国が買い上げて医療機関に配分している。同省は適正な管理が難しくなるため返品を認めていない。別の医療機関への譲渡なども禁じられている。

 ワクチンが余る状況は欧州も同じ。世界保健機関(WHO)と製薬企業が癒着しワクチン需要を作りだした、という疑惑さえ起きるほどだ。

 長妻昭厚労相はワクチン輸入の承認を表明した1月15日夕の記者会見で「(流行の)第2波が来る議論を勘案しても、余ることは想定される」との認識を示した。輸入の一部のキャンセル交渉は正式には、「始めていない」としたが、水面下で交渉の準備は進めているとみられる。

 会見に同席した足立信也政務官は、契約交渉当初は返品や契約変更はないという認識で動いていたことを明かし、「あの時点での(キャンセル)交渉開始は早計だったであろうと思う」と振り返った。春以降に流行すれば不足する事態もあるなど想定は何種類もあり「多く確保できたのは一つの利点」と話した。(大岩ゆり、熊井洋美、権敬淑)

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