ルパートは「ルビコンを渡る」(Crossing the Rubicon)という驚くべき本の著者でありますが、その中で彼は、世界は実際にはどのような方向に動いているのかという、誰しもが無関心ではいられないような主題を探求した「
FTW」誌における7年間のことを描いています。
「目に見えて明らかな危機はテロに関するものですが、」とルパートは要約して言います、「実際の真の危機はエネルギー不足に関するものです。」
石油ピークの危機は以下のような合衆国政府のふるまいを理由付けるものであるとルパートは示唆します、即ち、合衆国政府が、何故、グローバルな麻薬取引とマネー・ロンダリングに手を染めようとするのか、何故、地球上のいたるところでの不法な目に見えないかたちでの軍事行動に資金を供給しようとするのか、何故、他ならぬ自国民を監視しようとするのか、何故、憲法で認められている自由を段々制限していこうとするのか、何故、オサマ・ビン・ラディンのようなテロリストによる攻撃を支援しようとするのか、といえば、それは彼ら[政府]が石油ピークの危機を明確に認識し、そのことを中心にすえて行動しているからに他ならない、というのです。では、その結果は? 合衆国政府は、アフガニスタンとイラク――これら二ヶ国は世界でまだ埋蔵量として残っているエネルギーを戦略的に支配するための要ですが――における同時戦争にかかる週当たり10億もの戦費を正当化するために、「テロとの戦争」を発明したのでした。何兆ものドルと、何億もの人命が鉄火場に投げ出され、私たちの今の石油漬けの生活様式に対するオルターナティブを開発する代わりに、私たちの連邦政府は、世界中の外国での、高くつき,血腥い戦争を選択することによって、本当ならば石油ピークのジレンマを解決するために使われるべきである、残された時間、エネルギー、資金を浪費しています。
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以下は
ルビコンを渡る: マイケル・ルパートとのインタビュー 2005年9月13日(木)の
縞蘇鉄氏による日本語訳からの抜粋です。
ディック・チェイニーは「アメリカ的生活様式は変えようとして変えられるものではない」といいましたが、多分それは、上記のようなアメリカの現状を最もよく言い当てているのでしょう。しかし、バーモント州でならどうでしょうか?私たちは解決策を見つけようと努力する意志を持っているでしょうか?マイケル・ルパートと、石油ピーク、9・11、そしてバーモント州の独立について話し合いました。
Rob Williams (以下、RW): 著書「ルビコンを渡る」の中であなたは、ブッシュ政権内の主要人物が、地球上にまだ埋蔵されたまま残っている化石エネルギー資源を確保するための口実を政権に与えるために9・11のテロ攻撃工作を手助けした、ということを示唆する証拠をまるまる本一冊分提供しています。あなたのこの本の出版以来今までに、そういった議論をさらに補強するような証拠がなにか上がってきていますか?
Michael Ruppert (以下、MR): 二つの面で証拠があきらかになってきていると思います。まず一つ目は、石油とエネルギーです。:石油ピークはきわめて現実的で脅威的な問題で、しかも、ほとんどの人が考えていたよりもはるかに差し迫っています。私たちは今年に入ってから、予期していたより早く、主要なエネルギーの深刻な不足を目にしていますが、石油生産に関わる数値は、私たちがかねてから考えていた通りの動きをみせています、つまり、供給は減少し、需要は増加し、価格が上昇しています。
次に、二つ目ですが、軍事面に関するものです。アメリカによる軍事占領がありうるという予想(私としては、それが起こるとはおもいませんが)もある中での、世界各国によるイラン支援という観点からの話は煮詰まってきています。世界はイランの石油を必要としています。:中国はすでに2,000億ドルをイランに投資しており、インドは400億ドルを、ドイツは80億ドルをそれぞれ投資しています。世界のその他の国々はといえば、まあ、大規模な戦闘を起こすようなことがなければ、アメリカがイランの石油に手を出すことを認めないではない、という態度を大層明確にしつつあります。
ついでに言っておきますと、イラクをいくつかの小国に分割(バルカナイズ)しようという計画がもちあがってきています。――要するに、イラクを石油が豊富な地域とそうでない地域に分割したうえで、アメリカは石油が豊富な地域だけを支配して、もって占領を、たとい短期間でも、もっと安上がりなものにしようという提案なんですがね。
RW: あなたは最近、政治状況を変えるためにブッシュ政権が9・11に共犯者として関わったということに関して浮上してきている事実を利用する限りでは、「機会の窓」("window of opportunity")は既に閉ざされていると示唆する発言をなさっています。このことについてもっと何か話していただけますか?
MR: 2004年の選挙に勝って、2005年にブッシュ氏が大統領に就任したことで、あらゆる「窓」は閉ざされました。9・11委員会と議会は彼らがやるつもりであったヒヤリングを全て済ませてしまっていて、これ以上やる気はありません。というわけで、9・11についての事実に本気で取り組もうという意志はきれいさっぱり蒸発してしまいました。9・11は既に歴史になり果(おお)せています。9・11のことだけに関心を集中させるのは一種のエネルギーの浪費です。
RW: 「9・11の真実」コミュニティについて何か?
MR: 9・11を軽視しないで、それに関する真実を人々に伝えようとするどのような努力も、私は意義あるものと認めます。とはいえ、9・11の真実コミュニティということについて言えば、それは私の目には、ばらばらでまとまりが無く、善意ではあるが、政治的にはナイーブで、しかも時に好戦的になってしまうまでにナイーブな、そんな風に見えたりもします。9・11に関する真実を、歴史をしっかりふまえるという目的のために教えることは重要です。しかし、それを、私たちの教育的努力の主要な焦点とすることは、石油ピークの現実性が地平線上に姿を現した今となっては、時間の浪費というものです。
RW: 「ルビコン」の中であなたは、優れた地質学者であるM キング・ハバートによる、合衆国は石油ピークに間も無く到達する、という1970年の予測は全く正しかったと述べています。地球規模でみても私たちは既に石油ピークに到達しているのでしょうか?この主張をさらに強化するような証拠が何かありますか?
MR: 私たちは石油ピークが実際に起こってしばらくたってからでないと、確実には、知ることはできないでしょう。私たちの予測が予期していたよりもさらにずっと正確で深刻なものであることは、主要な油田が急速に劣化しつつあるという事実が示してい[ると私は思い]ます[が]。
RW: 最近、英国の「エコノミスト」誌が石油についての特集号を出して、その中で、あなたも「ルビコン」で彼らの研究を証拠として引用しているコリン・キャンベルとマシュー・シモンズに言及して、石油ピーク評価の見取り図を描くに緊迫性をあまりにも誇張している「石油悲観論者」だと言っています。このことについてあなたはどうおもわれますか?
MR: 「エコノミスト」誌のその号が出てから二ヵ月が経ちますが、私たちの予測が全く妥当であることは変わらないと思います。思い出してみて下さい、「エコノミスト」というのは、市場をできるだけ今現にある形で維持することが利益になる、というそのようなものであることを。そのやり口の中には、現状に有利になるような記事の掲載の仕方、ということもあるわけです。
RW: 石油ピークに備えて、私たち誰にでもとれる処置とは具体的にどのようなものでしょうか?
MR: 石油ピークは絵空事ではなく、人類文明における最も重大なできごとはといえばそれを措いて他にはないということが間もなくわかるでしょう。それに続いて起こるエネルギー不足は私たちを20億人しか養い得ない世界に連れ戻すことになるでしょう。その深刻さはちょっと想像がつかないのではないでしょうか。どのような人が生き延びるのか、といえばそれは、地域に根ざして、そこでの[局地的な]協同[働]関係を打ちたてようと努力することを通じてなんとかやっていける人たち、ということになるでしょう。そのような人たちを、私はこの国中いたるところでみかけるようになってきました。問題は:そのような方向での組織化が間に合うかどうかです。
RW: あなたが書いたり話したりしたものの中には、アメリカの政治文化がますますファシズム体制に似てきていると示唆するものがあります。最近の兆候としてはどのようなことがありますか?
MR: 合衆国内で今起こりつつあることのリストは、その量と速度両方の意味で、実に恐るべきものです。議会は、現役大統領の任期を2期に制限している合衆国憲法の修正第22条〔訳注:一九五一年確定〕を廃棄する方向で動いています。;FBIは今や法廷の関与なしに自らによる召喚状を発することができます。;合衆国軍事情報部が地方警察機関と共働すべきであるという提案が出てきていますが、それは「民兵制度」("posse comitatus")[訳注A]の弱体化につながるでしょう。;ジェームズ・センスブレンナー下院議員は「HR 1528」という法案を提出しました(訳注:2005/04/06)が、その内容はといえば、親族や友人がマリファナ所持若しくは軽度の麻薬使用の罪を犯していることを知りながら告発を怠った者に5年の実刑判決を課すという代物です。;ベトナム戦争の時のような徴兵がなされることになるでしょうが、今度はカナダが往時のように脱走アメリカ兵を受け入れるといったことはないでしょう、あの国は今では実質的にはアメリカの植民地ですからね。リストはまだまだ続きます[がこれくらいにしておきましょう]。
RW: 近未来の想像図を描いてみてください。
MR: 大停電があるでしょうし、ドルは暴落するでしょうし、膨大な失業に直面するでしょうし、住宅市場は崩壊するでしょうし、民衆や諸事業はことごとく全国規模での資産の「投売り」("fire sale")を余儀なくされるでしょう。私にできる物や金の面での最上のアドヴァイスは(どんなケースにも妥当な方法などは無いとわきまえた上でですが)、できるだけ身動きがとりやすいようにしておきなさい、ということです。借金があるならまだ可能なうちに返しておいたほうがいいでしょうし、最も価値が有ると思う資産(住宅も含めて)が本当にしがみつくに値するものかどうか見極めておく必要があります。もしもあなたの家が水の流れがあり肥沃な数エーカーの土地にあるのならそこに留まっていた方がいいでしょう。マンハッタンの下町のアパートに居を構えているのなら転居を考えた方がいいかもしれませんね。
RW: バーモント州が独立して[アメリカ帝国から]分離する、ということについてのあなたの考えは?――そのことは、平和的、協調的な方法でのアメリカ帝国の自発的な解体ということにつながっていくと思いますが、どうでしょうか?
MR: アメリカ帝国はいずれにせよ崩壊するでしょう。私はバーモントが好きです、旧来の友人も何人かいますしね。エネルギー、農業、お金、等々をめぐる社会的、政治的な根本理念を根底から発明し直すという共同的努力を勇気付けるようなあらゆるプロジェクトこそが私たちが今もっている最上の希望です。
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