2007年07月19日

仙台編

第三章  ”みちのくYOSAKOIまつり” 事務局長 齋藤鉄哉氏インタビュー
第一節 “みちのくYOSAKOIまつり”とはの方向性
第一項”みちのくYOSAKOIまつり”は法人格を持っているか否か

みちのくYOSAKOIまつりは法人ではなく、民間の任意団体である。その実態は、お祭りを行うために有志が立ち上げた実行委員会で、企業からの協賛金や、寄付金、参加チームからの運営協力費、市からの補助金で運営を行っている。

第二項“みちのくYOSAKOIまつり”が始まったきっかけ

 みちのくYOSAKOIまつりは、宮城県出身の高知大学の学生であった三宅浩司が、本場のよさこい(池上氏がプロデュースしたセントラルグループよさこい踊り子隊)を踊っていたことがきっかけであった。
 仙台にはこの激しさの祭りはないと思い、仙台でも”よさこい祭り”を行いたいというのがきっかけで始まり、有志を集めてたちあげたお祭りである。
1997年12月に、YOSAKOIソーラン北海道で有名な新琴似天舞竜神を仙台で有名な光のページェントに招待した。また、翌年の8月には東北四大祭りの一つである仙台七夕祭りによさこいをセントラルグループよさこい踊り子隊を呼んで踊りを披露してもらうことも行った。三宅氏が所属していたことと、本場のお祭りを呼ぶことに意味があるということでセントラルグループよさこい踊り子隊を招待した。また、仙台市民の有志で集めたチームで踊った。仙台市民の有志で集めたチームで踊った踊り手の中にはその後、”みちのくYOSAKOIまつり”の実行委員会に所属する者や、現在では150名近くの踊り手が所属する“みちのくYOSAKOIよさこい大漁連”を立ち上げたもの者もいる。それが第一回”みちのくYOSAKOIまつり”につながることになった。

第三項 地元チームについて

“みちのくYOSAKOIまつり”は、町おこしを中心に考えている。このため、この祭りは仙台でやる、宮城県でやる、東北を相手に行うことを基本としている。
新規でチームを立ち上げるということであれば、教えにいくということはしている。そこから大きくなったチームが、新しく立ち上げるチームに教えにいくというやり方でやってきた。
現在は、積極的にチームを立ち上げていこうというのではなく、すでに多くのよさこいチームが立ち上がってしまったので、新たに立ち上げるという話があれば、電話等でお話はするというレベルにしている。実行委員会としては、東北六県でチームが増えて欲しいと考えている。
みちのくYOSAKOIまつりは他の祭りとは違い、コンテスト形式をとっていない。10人以上のチームであれば誰でもどんな踊りでもよく、ルール(鳴子を持つことと、曲に地元の民謡を入れること)を守ってもらえればという方針で運営している。発足当初の34チームから始まった”みちのくYOSAKOIまつり”は、最終的に250チームになっている。
高知県もよさこい鳴子踊りから始まり、途中から曲調の自由化、踊りの自由化を行ったことにより大きいお祭りとなったので、それにならったやりかたで行ってきた。

第四項 民謡

札幌は、「ソーラン節」を曲に入れることであったので、東北には民謡がいっぱいあり、まだ知られていない民謡もいっぱいある。そういった民謡を町おこしと同時に発掘していこうという思いがある。ルールがないと“よさこい祭り”ではなく、ただの創作ダンスになってしまうため、民謡を曲の中に入れるということは、今後”みちのくYOSAKOIまつり”を継続して行くには避けて通れないことで、むしろ重要視していかなければならない点である。古くから伝わる民謡を取り入れることにより、また新しい形の祭りとして進化していきたいという思いが込められている。
町おこしが基本なので、いい民謡がどこかの町に埋もれているとして、”みちのくYOSAKOIまつり”がきっかけで掘り起こし、町の活性化につなげていきたいという理想がある。で、あるから民謡だけではなく、町おこしにつながるのであれば地元の音頭でもよいと考えている。

第五項 民謡の使用による問題点
現状では、参加チームの曲の中で、民謡がどこに入っているのか分からないというものや、民謡のアレンジをしすぎたため分からないというものがある。“みちのくYOSAKOIまつり”としてはそういったものは求めておらず、むしろもっと民謡として聞き取れる曲のアレンジを求めている。
“みちのくYOSAKOIまつり”が求める民謡の理念は以上の通りであるので、今後の課題の一つに、民謡の扱いに関しての参加チームと実行委員会の課題とであろう。


第六項 “みちのくYOSAKOIまつり”実行委員会が祭りに、踊り手として参加することについて

年代の若い者(主に学生)は、参加しているものも多い。けれども、年代の高いもの(社会人)は運営側の目線でしか見ていない。
若い実行委員会の学生が、“みちのくYOSAKOIまつり”以外のお祭りで踊ることに関して規制をかけるつもりはない。むしろ運営側が気づけない、チームの要望に気づけるという面もあり、運営に役立てられるのであれば、いいと思っている。
また、実行委員会でチームを結成し、他の祭りに“みちのくYOSAKOIまつり”をPRしに行くことも可能性として考えている。

第七項 変換時期

他の“よさこい祭り”にあって、“みちのくYOSAKOIまつり”にないもの。それは受賞制度や地方車を使用し道路を封鎖したパレードである。
これらに今まで実行委員会で話し合ったことはなかったのであるが、来年“みちのくYOSAKOIまつり”は10回目を迎える。そのこともあり、参加者、客の目線に立って考える必要もあると感じている。
最近の“みちのくYOSAKOIまつり”に対してのマンネリ化が問題であると齋藤氏は語る。観客が「今年観たから、来年は観に来なくてもいい」という考え方になってはいけない。しかし“みちのくYOSAKOIまつり”には、伝統あるお祭りのように、ご神体や御輿があるわけではない。イベントを行うには、常に新しいものを作りださなければならない。
今までは勢いでお祭りが成り立っていたという面もある。”みちのくYOSAKOIまつり”の念願はパレードにある。きっかけとなった12月に行ったページェントや、仙台七夕祭りによるよさこい披露の時はパレードを行ったが、それ以降、”みちのくYOSAKOIまつり”となってからは行っていない。
よさこいの迫力を見せる、魅力の一つである「パレードで魅せる」ことにある。道路を封鎖し、行いたいと考えている。
現在、仙台のアーケードを使用したパレードはあるものの、参加チームからは狭くて踊れないとう問題を指摘され、アーケードからは踊りの曲の音量を下げて欲しいという要望がある。
“みちのくYOSAKOIまつり”は環境に配慮した祭りを目指しており、音も環境の一つであると考えている。あまり音を大きくできない、配慮しなければならない。
しかし、大きな音をだして迫力のある演舞を行い、見る人の視線も変えたいと考えている。パレードを10回目を機に行いたいと考えている。
しかし仙台市内で行われている他のお祭りで、年に6〜7回交通規制をかけている。これ以上は、交通規制をかけないでほしいと警察、仙台市から言われていることが最大の問題である。また、町に住んでいらっしゃる方は皆、お祭り好きな人ばかりではない。
そういった人達を説得するにはお祭りとしての実績がなかったこともある。祭りが許可を取るためのハードルは高いが、10回目という節目であり、そういった念願をかなえるにはいい機会ではないのではないかと考えており、パレードによる会場を増やしたいという念願は強く、実行委員会でも賛成している者が多い。


第八項 開催時期

仙台のお祭りは、青葉祭り5月、仙台七夕祭りが8月、定禅寺ジャズフェスティバルが9月、光のページェントが12月に催される。その中でも、仙台七夕祭りや、光のページェントは動くお祭りというよりも、飾りつけられたものを見るお祭りであり、定禅寺ジャズフェスティバルは音楽を聴くもの。
春に青葉祭りのすずめ踊りのように動くお祭りがあるのであれば、秋に動くお祭りがあってもいいのではないか、という発想が”みちのくYOSAKOIまつり”の開催時期を決めた決定的なものである。
また、”みちのくYOSAKOIまつり”の「みちのく」というように、宮城県だけではなく、東北六県であるということである。東北であるというということもあり、農業の食べ物にまつわっている。
民謡の中にも「五穀豊穣の実り」や、海の「大漁歌いこみ」のように、それらは主に秋に収穫される。そういったものを考慮して秋にお祭りを開催するという考えもある。


第九項 収入としての運営の面

収入の面では苦労している。今後NPOなどの法人格は必要となってくるが、それはまだ時間がかかる。
現在は、企業からの協賛金と、仙台市からの助成金、チームからの運勢協力費、募金、ガイドブック等の売上に頼っているのが現状である。
協賛金を支払っている企業からしてみれば、マンネリ化は一番痛い。だからこそ転換期に来ていると考えている。

第十項 参加チーム数について

チーム数も200前後で横ばいになりつつあり、チーム数に変化があまり見られない。しかし、実際は去年まで出場していたチームは参加せず、新規に作られたチームが参加するという『入れ替え』のようなことも起きており、参加チームと会場数の要領としても、、現在の250チームというこの参加チーム数がちょうどいいと考えている。
これ以上、参加チームが増えると、参加チームの一日に踊ることの出来る会場数が足りないという現象が起きかねない。
そうなると、1チームあたりの踊れる回数が少なくなり、参加者の減少につながりかねない。
“みちのくYOSAKOIまつり”に参加するチーム数は、他の祭りよりも比較的多い。1チームあたりの参加人数が、他の祭りよりも規制がゆるいことにある。(1チーム10人以上)

第十一項 踊り手に対しての配慮
チームの人が踊りやすい環境を作ることを重視している。たとえお金がなくてもステージを作っている。(1ステージあたり100万円近い出費)
ステージ形であるがゆえに、設置することに対する出費がかかるため、踊り手に踊りやすい環境をと配慮する面と、経費のしのぎあいが続いている。

第十二項、”みちのくYOSAKOIまつり”の知名度
“みちのくYOSAKOIまつり”の知名度は、もっと一般人の方に対して増やしたい。東北各地から観客は来ているが、仙台市のお祭りとしては、認知度としても観客来場者数に比べても、光のページェントや仙台七夕祭りに比べればまだまだ低い。実際にこの2つの催しは、町に設置されているもので生活と密着しており、期間が長いので比べようがない。
“みちのくYOSAKOIまつり”の告知活動をし、TV放送も昼の仙台放送や、ケーブルTVの夜の放送ではなく、北海道のように民放で夕方から夜まで長時間行っているような放送もできればしていきたい。
仙台の新聞広告で一面を使用して告知もしたいが、そこにお金をかけるのであれば、ステージの設置にお金を回してしまうところがあった。
今後、人海戦術のように人を増やしていくか、大々的な告知をするかは今後の課題である。
仙台の方の中にも、わざわざ見に行くまでのものではないという認識があるかもしれない。そのためにも、知名度は上げていきたいと考えている。

第十三項 ”みちのくYOSAKOIまつり”実行委員の人数について
今後の課題は、実行委員の数を増やさなければならないというものが大きい。踊り手の数は実行委員会が着手しなくても、増えたり減ったりしている。
“みちのくYOSAKOIまつり”の、当日だけお手伝いをしてくださるボランティアを集めるのも大変だが、現在は大変申し訳ないけれども、参加チーム側に集めてもらうという、義務化のいうスタイルをとっている。
みちのくYOSAKOI実行委員となると、その当日ボランティアの1年間版である。サークルに加入する学生も少ない時代であるので、難しいけれども、新入生の加入の時期に合わせて、告知活動をしている。
ただ、社会人の実行委員は、”みちのくYOSAKOIまつり”に初期段階から関わっていた年配者が多く、年代的に学生と社会人の間に空洞があるという。この間に位置する年代の方にもっと増えてほしいと思っている。


第十四項 目指している祭りの開催方法
“みちのくYOSAKOIまつり”は独自のスタイルを持っていると思う。商店街有志祭りを目指している。札幌のように、主要の会場以外は、商店街のような人々が動き回って、スタッフが何人か派遣されるというシステムを取れば実行委員数不足は補えるが、現状ではまだ行えていない。

第十五項 チームの参加形態
商店街や企業のチームが他に比べて少ないのは現状。学生チームが多い。
それは問題とはあまり考えていない。そういったチームが少ないのは、地方車を使用したパレードを行っていないことや、コンテスト形式をとっていないことで起きている。
地元チームということでは、商店街チームというものはないが、地域の有志の集まったチームが多い。地域おこしという面では達成はしているが、欲を言うと、商店街や、中年の奥方が集まったチームみたいなものがあってもそろそろいいのではと思っている。
参加していない市町村に呼びかけようという試みもある。市町村合併もあったので、だいたいの地域から参加はしているものの、もう少し掘り起こしていきたいと考えている。今までの”みちのくYOSAKOIまつり”は、参加しやすいというものを、重視していた。

catamayu100 at 04:19│Comments(0)TrackBack(0)

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