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脱税罪の最高刑、2倍の懲役10年に 29年ぶり強化

2010年1月23日15時5分

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 政府は今年6月から、脱税行為に対する刑事罰を大幅に強化する。最高刑を現行の懲役5年から、2倍の懲役10年に引き上げることが柱。詐欺などほかの経済犯罪に比べて罰則が軽い状態を解消し、課税逃れの予防をはかる。脱税罪の法定刑引き上げは29年ぶり。所得税法など関連の法改正案を、2月上旬に国会に提出する方針だ。

 所得税や法人税、消費税などの脱税に対する現行の法定刑は、「5年以下の懲役、500万円以下の罰金」(脱税額が500万円を超える場合は、脱税額が罰金の上限)。「10年以下の懲役」である詐欺や業務上横領より罰則が軽い。

 この数年の間に、経済分野の法律が大改正されたのに合わせて、有価証券報告書の虚偽記載(金融商品取引法)、無登録のヤミ金融(貸金業法)、知的財産権の侵害(特許法など)といった犯罪行為の罰則は次々に強化され、最高刑が懲役10年になった。一方、脱税は1981年に懲役3年から懲役5年に引き上げられて以来、手つかずとなってきた。

 自公政権も脱税の罰則強化を検討したが、消費税の増税など税制の抜本改革に合わせて実施するべきだと判断し、実現に至らなかった。民主党は昨年夏の衆院選前につくった政策集で、脱税の罰則強化を明記。鳩山内閣でも政府税制調査会が検討を続け、昨年12月の税制改正大綱に具体案を盛り込んだ。

 法改正が実現すれば、今年6月以降、主要な脱税行為の法定刑は「10年以下の懲役、1千万円以下の罰金」となる。これに伴い、刑事訴追の時効も5年から7年に延びるため、国税・検察当局が刑事事件として立件しやすくなる効果も見込まれる。

 また、給与から所得税を源泉徴収する義務を負う事業主が税を納付しない行為についても、罰則の上限を懲役3年から懲役10年に引き上げる。申告書の不提出や記帳義務の違反も、罰金額の引き上げや懲役刑の新設で罰則を重くする。

 近年、国税当局による脱税事件の告発件数は年150〜160件前後で推移しているが、1件当たりの脱税額は06年度以降、増える傾向にあり、08年度は約1億5千万円に達した。国の財政が厳しいなか、政府は脱税の罰則強化で、税制への信頼を確保したい考えだ。

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