八代市の八代地域農協(JAやつしろ)は30日、営農部総合青果物センターで露地野菜の集出荷を担当していた男性職員(32)が、出荷代金約743万円を横領したとして、懲戒解雇したと発表した。「パチンコ代や飲食費などに使った」と着服を認め、家族が全額弁済したため、刑事告発はしないという。
同農協によると、男性は銀行に偽名の口座を開設、取引先の埼玉県の野菜卸業者に指示して今年4-5月に5回にわたり、キャベツの出荷代金計約743万円を振り込ませ、着服したという。
同農協の9月決算時の調査で発覚。男性は上司から呼び出しを受けた10月8日から所在不明になっていたが、今月16日に同農協を訪れて着服を認めたという。同農協は管理監督責任を問い、加来誠一組合長ら役員と幹部職員計42人を減給処分にした。
同農協では6月にも、約220万円を着服した職員を懲戒解雇する不祥事があったばかり。同農協は内部にコンプライアンス(法令順守)委員会を設けて再発防止を図ったが、今回も職員の不正に上司のチェックが及ばなかった点で、共通した問題があったという。
加来組合長は会見で謝罪し、「不祥事を起こさないようにする(組織内の)けん制機能が働いていなかった」と述べ、業務の効率化とチェック機能強化を図る組織改編の必要性を強調した。
=2009/12/01付 西日本新聞朝刊=