今日(3月15日)、秋葉原コンベンションホールにて開催された、財団法人日本障害者リハビリテーション主催の、「地上デジタル放送の今後への期待」というシンポジウムへ参加し、地上デジタル放送のアクセシビリティについての現状を学んできた。
感想「かなり・・まずい!」というのが、聴覚障害者、及び視覚障害者当事者や関係者の率直な意見だった。
特に、悲惨なのが手話を主に言語としている聴覚障害者の問題がクローズアップされた。
(*補足資料「総務省の資料からの引用」
主に手話を必要としているろうあ者は10万人以上、主に字幕を必要としている難聴者は600万人と推定されている。)
思った以上に手話人口は多い。
今までのアナログ放送とは違い、地上デジタル放送のシステムは、携帯のパケットと同じように大きなデータを1度に受け取り、受信機側でそのデータを割り当てて格納するようになってるらしい。また、社団法人電波産業会のARIB標準規格というのがあり、ここでも、地上デジタル放送は同時に1画面しか表示しないという規定があるらしいです。この事により、地上デジタル放送では、マルチチャンネルを使用しない限り、手話放送はできない、不可能ということになったということだ。
なぜ、このような大きな問題が最近になってわかったのかと言うと、この地上デジタル放送のことが策定される際に、一切障害者へ意見を聞いたり、調査をしたりということがないまま、進んでいってしまった事も、大きな要因となてると、障害者当事者らはかなり憤りを覚え、ショックを受けていた。
また、海外事例で既に地上デジタル放送になっている中から、イギリスのRNIB(英国盲人協会)のアクセシビリティ部長の、リチャード・オームさんがビデオにて、英国の視覚障害者が音で操作出来るように、自分達で開発した受信機を実際に操作し見せてくれた。とても良く出来ているが、どうも日本とは規格が違うらしく、残念なことに日本で使う事は出来ないとのことだ。(やはり、規格の国際基準ができていないがための弊害はこういったことにあるのか・・)
逆に、日本の状況はどうか?というと、また例によって各社それぞれに開発されているようだ。これでは、まちまちの操作性で現状の読み上げソフトと同じ状況になりそうだ。
今回は、三菱電機の「しゃべるテレビ」というのが紹介された。
まだまだ開発の途中だということだった。
せっかくの機会で、公的な財団イベントだけに、三菱だけでなく、他社のことについても知りたかった。
障害者だけの問題ではなく、地上デジタル放送が受信できない地域も出るということで、まだまだ多くの問題を抱えたまま、2011年には、いっせいにアナログ放送からの切り替えが決まっている。
それに向け、現在総務省では、「テレビ受信者支援センター」を設置し、21年度は88億円の予算をかけ、サポートに全力を尽くしていくという話が、総務省の担当者からあった。
帰宅後、早速その支援センターのWebサイトへアクセスしてみた。ここでもまったく、アクセシビリティに配慮されたいないと問い合わせサイトに愕然とした。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/whatsnew/digital-broad/index.html
「やさしい受信ガイド」「やさしい体験ガイド」のリンクは、全てFlashで作られていて、多くの視覚障害者が使用しているホームページリーダーでは、全くアクセスできない。
また、大切な問い合わせの手段も、電話番号だけで「FAX」「Email」とも用意されたいないので、聴覚障害者や言語障害者は困ってしまうだろう。また、健常者でも開設してる時間に問い合わせが出来ない人は、e-mail対応があれば助かる。
しかし、なんと「このサイトの使い方」http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/whatsnew/digital-broad/howto.html
のページには、アクセシビリティに配慮したページにしたと書いてある。本当にどうなってるの?!
21年度だけでも、88億円もかけたサポート体制をとるのだそうだが・・。
アクセシビリティに関して、国の施策などに関係する事においては、外部評価する機関が日本でも本当に必要な時代ではないだろうか。
2009年03月15日
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> 使用しない限り、手話放送はできない、
> 不可能ということになったということだ。
製品開発側の人間です。
この記事をたまたま知って飛んできたので
以前の流れなどをわかっていないのですが、
どの辺を問題とされているかもう少し書いて
いただけないでしょうか。
自分の認識だと手話放送ができないまでは
ない気がしています。
想定しているのは、現在字幕のON/OFFが
リモコンで可能なように、特定ボタンを
押すことで手話の画面が小さく下に
出たり消えたりすることでしょうか。
そうだとすると無理ではないですが
たしかに厳しいですね。
このblogのライターのハーモニー・Bです。
コメントでの質問ありがとうございます。
短い時間での説明だけなので、私も100パーセントは、はっきり申しまして理解してるとはいえませんが、この件は、主に「目で見るテレビ」を運営している、CS障害者放送統一機構の理事の方が話していた情報です。
また、実際に聴覚障害のある方の「難聴者の生活」に、もっと詳しく触れられています。
http://blogs.dion.ne.jp/rabit/archives/6623797.html
>自分の認識だと手話放送ができないまでは
>ない気がしています。
正直、手話データのための容量が厳しいのだそうです。
なんらか、別途新しい技術が開発されるしかないのでは・・と、話していました。
私も、もっとこのことについては詳しく正しく知りたいので、情報があったら当会「ハーモニー・アイ問い合わせ」からでも、ご連絡いただければ幸いです。
どうも、情報がきちんとまだまだ整理されていない感じを、先日参加したシンポジウムで受けましたので。もっと関係する技術者なども交えて、きちんと説明・議論する場があったら助かりますよね。
読んでみたところ解説概ね正しいと思います。
つまり手話をデジタル放送で字幕のように
ON・OFFは厳しいと思われます。
現実問題としてこの不況の時代
一円でも安くしないといけない状況で
テレビにアニメ手話のような新規機能は厳しいですし、
また放送局の設備を変えるのも難しいと思います。
ですので、次の手段としてはテレビという
機械は見限って、テレビ局には
ニュースなどを放送直後から手話映像にして
YouTubeなどで流すようにさせることでしょうか。
紹介されていたページではインターネットへの
映像データは「重い」とありましたが
YouTubeやニコニコ動画がはやっている昨今
それは改善されてきていると思います。
たしかにネットはテレビと違って
全国一律というのは非常に厳しいですが
光ファイバーがきているところからでも
まず対応させてしまえば次の一歩が楽に
なるような気がします。
などと、他の人への要望だけではまったく意味が
ないのですがこの不況の現状では下っ端のいち開発者では
販売促進に即つながり、かつお金をかけないことくらいしか
動けないのも本音です。
とはいえ、このページをみていろいろ考えさせられる
ことがありましたので、今後できる範囲で改善して
いこうと思いますので、ご意見ありましたら
今後ともこのページのような、Webへの発信を是非
お願いいたします。
(議論の場があればいいのですが、きっと
それを待っていると時間だけが過ぎていくような。。。)