お疲れ首相予算委で「朝三暮四」答弁ミス

　衆院での与野党論戦２日目。どことなくお疲れの様子で委員会室に現れた鳩山由紀夫首相（６２）を待っていたのは、四文字熟語の“テスト”だった。自民党の茂木敏充議員が、鳩山内閣が昨年、第１次補正予算で凍結した事業内容を審議中の第２次補正予算で復活させたことをただした際、「総理、『朝三暮四』の意味をご存じか」と水を向けられた。

　鳩山首相は「朝三暮四？　朝三暮四？　それはよく知ってます」と自信たっぷりに答え始めた。「朝３つ夜４つという話。朝の発言や決めたことと、夜決めたことがすぐ変わる。あっさり変わってしまうことです」。最近発言のブレが多い首相にとっては自虐的ともいえる話。委員会室には笑いが漏れた。

　しかし、民主党席の雰囲気はビミョー。茂木氏はすかさず「あのー、総理が今おっしゃったのは多分『朝令暮改』です」と訂正した。「中国で飼われていたサルに木の実を朝３つ、夜４つ与えると言ったら少ないというので、朝４つ夜３つにすると言ったら喜んだ。１日の数は７つで同じだが、数を変えることでごまかすということ」「今政府がやっていることはまさに朝三暮四だ」と、鳩山首相は突っ込まれてしまった。

　茂木氏からはそれ以上追及されなかったが、「未曾有（みぞう）」を「みぞゆう」と誤読する国語力のなさで、支持率を下げた麻生前首相をほうふつさせるシーン。鳩山首相は、力なく笑うしかなかった。

　鳩山首相は茂木氏との質疑で、皮肉にも「朝令暮改」を地でいく発言もした。２１日夜に報道陣とのやりとりで、石川容疑者に対し「起訴されないことを望む」とした発言の真意をただされた。鳩山首相は「捜査で無実が証明されればいいと思って申した。検察へ介入する意図は毛頭ない」「仮定の話を記者がした。仮定のことはない方がいいと思った」と釈明した揚げ句「誤解を与えてしまうなら撤回申し上げます」。まさに朝令暮改。一夜明けの早業だった。

　鳩山首相の発言のつたなさには、野党だけでなく党内からも「無責任」との声が上がっている。鳩山さん、こんなことで大丈夫？

　［2010年1月23日7時34分　紙面から］