くまにちコム:熊本のニュース速報なら熊本日日新聞

テキスト版サイトマップ


くまにちコム トップ > 社説・射程・新生面 > 社説 国会論戦 「政治とカネ」の集中審議を


社説

国会論戦 「政治とカネ」の集中審議を 2010年01月23日

 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件で、東京地検特捜部はきょう23日午後、小沢氏に対する任意の参考人聴取を行う。特捜部は、小沢氏が土地購入の原資と主張している「個人資金」の実態や、虚偽記入の認識、了承の有無について説明を求めるとみられる。

 捜査は大詰めを迎えたものの、事件の全体像はいまだ不透明でもある。小沢氏が与党幹事長という要職にある以上、一連の疑惑をめぐっては政治の場においても、可能な限り説明責任が求められるのは当然だ。このため、21日から始まった衆院予算委の審議も、小沢氏や鳩山由紀夫首相自身の「政治とカネ」の問題に大半が費やされている。

 ただ、それは理解できる一方で、もどかしい思いが募ることも否めない。成立が喫緊の課題である本年度第2次補正予算案をめぐる議論が十分に尽くされない半面、「政治とカネ」をめぐる与野党の論戦自体も、消化不良の印象が強いからだ。

 21日、野党の先陣を切って質問に立った自民党の谷垣禎一総裁も、追及の中心は鳩山首相、小沢幹事長双方の「政治とカネ」だった。

 母親からの資金提供を「天地神明に誓って知らなかった」と弁明する鳩山首相から、「もし(従来の説明と)違った事実が出てきたら、(議員)バッジを着けている資格がない」との言質を引き出したが、そこから先が続かなかった。

 一方、首相は答弁で、特捜部の捜査に「圧力をかけるつもりはない」と強調。だが、同じ日の夜、逮捕された民主党衆院議員石川知裕容疑者に関して「起訴されないことを望みたい」と発言し、翌22日の予算委で撤回に追い込まれている。

 検察も含む行政トップとして不用意な発言だ。この問題では少なくとも、億単位の不明朗なカネが動いた事実が判明している。閣僚や民主党内にも小沢氏を擁護するあまり、検察を敵視するかのような発言があるが、「政治とカネ」に対する国民の厳しい目を見誤ってはいないか。

 いま国会に求められるのは、予算案をめぐる政策論戦と、政治への信頼回復の両面で、国民の期待に応えることだろう。だとすれば、「政治とカネ」に関する集中審議を求める野党に対し、与党側が「今国会中の開催」を約束するにとどまっているのはかえって納得できない。

 与党は早期に集中審議に応じ、政治資金の透明化や、何度改正しても“ザル法”と言われる政治資金規正法の罰則強化、連座制の導入などを徹底して議論してほしい。小沢氏の国会参考人招致や、政治倫理審査会の開催も検討すべきだ。その上で予算案を含め、幅広い政策課題でも論戦を深めてもらいたい。

 自民党は今のところ審議拒否の構えは取っていないが、25日の衆院予算委・締めくくり総括質疑と採決の推移次第では、野党が態度を硬化させる可能性も否定できない。

 だが、政権交代後の国会の姿として、今回のケースは与野党双方の試金石でもあろう。政治が説明責任を果たすという一点で一致することで、より実りのある国会論戦の在り方を模索してほしい。




社説 記事一覧

 

個人情報保護方針著作物の利用についてお問い合わせ

↑このページの先頭へもどる


無断転載は禁じます。「くまにち.コム」に掲載の記事、写真等の著作権は熊本日日新聞社または、各情報提供者にあります。

Copyright(C) 熊本日日新聞社,All Rights Reserved.