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社説

高岡の職員給与カット/市民にも納得いく結論を

2010年01月23日 01:38
 高岡市が新年度から3年間、一般職を含む職員の給与引き下げを組合側に提案している。景気低迷に伴う税収減で厳しい予算編成を強いられており、職員にも痛み分けを求めた形だ。市は北陸新幹線新高岡駅(仮称)周辺整備など期限が迫るハード事業を抱える一方、子育て支援や福祉サービスの充実など市民ニーズの強い分野にも取り組まねばならない。市政の現状を踏まえ、労使双方で十分に協議してほしい。

 市が提案した給料(基本給)削減は、役職に応じて2~5%。組合の試算によると一般職の平均減額は月約1万1千円。給料、手当は人事院勧告に基づいて変更してきた。財政難を理由に人事院勧告に基づかずに給料を減らすのは、同市では初めて。聖域に踏み込まざるを得ないほど、厳しい予算編成となっていることの裏返しだ。

 新年度の市税収入は、平成21年度当初より16億円(5・9%)減の255億円を見込む。例年にない厳しい予算要求基準を設定したものの、各部局からの要求総額は一般会計で12・2%増の729億円に達し、一般財源ベースで40億円の財源不足となった。さらに収入不足は今後3年間継続するという。事務事業を見直し、人件費の圧縮に取り組むのは当然の流れだ。

 20年度普通会計の人件費率は19・4%。県内10市では小矢部(21・7%)、氷見(20・8%)、魚津(20・5%)の各市に続き、上位にある。かつて定数以上の職員を採用していた問題が発覚し、その後極端に採用を抑制してきた影響で50歳以上の職員の割合が高く、21年4月現在の平均年齢は45歳2カ月で、10市中3番目。平均給料の額はトップだ。

 市は行革の計画をつくり、17年度からの集中改革プランでは職員数を180人減らした。人件費率は17年度の22%から19%台に落ち、負担は確実に軽くなった。身軽になった分で新高岡駅周辺整備や福祉サービスの充実に取り組めるはずだった。しかし、リーマン・ショックに伴う景気低迷が地方経済、地方財政にも影を落とした。

 昨夏就任した高橋市長は予算編成を前に、人件費の圧縮に着手した。管理職手当は19年度から10%カットされているが、歳入不足を補うには十分でない。新高岡駅や高岡駅周辺整備など大型事業が集中する今後3年間に限り、職員に負担を求めることにした。

 県内自治体では、県が石井知事就任後の17年度から、氷見市が病院民営化に伴って20年度から職員の月給を減額している。旧黒部市は、堀内市長が就任直後の17年に給料カットに取り組んだ。いずれも組合と交渉を重ねた結果だ。

 高岡市の組合は、職員削減と賃金カットに長年協力してきたにもかかわらず、正月休み明けに突然減額を提案したことに対する不満が強く、計画撤回を求める構えだ。市は痛みを職員だけに押しつけるのではなく、特別職の報酬を見直し、事務事業を徹底的に見直さねばならない。労使間の信頼関係の再構築も急務だ。厳しい景気・雇用情勢の下、安定した環境で働く公務員に対する市民の厳しい目線も踏まえ、総合的に、結論を見いだしてほしい。

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