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県不正経理

2010年1月23日

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予算の消化意識も問題

 県が2003~07年度の5年間に、計5073件、総額約14億5千万円の不正経理があったとの調査結果を発表した。県全体の9割近くに上る職場で不正が見つかったことになる。

 既に公表していた元税務課の4人以外に着服はなかったというが、架空発注で業者側に公金をプールする「預け金」も新たに判明した。預け金の総額は約1億2739万円。税務課以外に新たに3部署で計16件、約248万円が見つかった。

 不正経理全体の中で最も多かったのは、納品が翌年度にずれる「翌年度納入」で、約12億8569万円。文房具などを請求しながら、机など実際には違う物品を納品させる「差し替え」は約3201万円。「前年度納入」と「目的外支出」も数百万円のレベルに上った。

 中には業者側の都合などでやむを得ない事情ができたケースもあるかもしれないが、一連の不正経理の背景に、「予算は使い切ってしまえ」という風潮があったならば見過ごせない。

 県幹部は「予算を余らせると翌年減らされるという意識を各部局で持ってしまっているのは非常に残念」と指摘。その上で、「予算に残額が出たら、メリットシステムでその分は次の予算に反映させるようなことを考えないと、こういうことがまた起きるかもしれない」との見解を示している。

 予算の仕組みに対する全庁的な意識の問題があるなら、予算のあり方の抜本的な見直しに踏み込むべきだろう。

 ただ、その前段で、不正経理が判明した項目の予算額は妥当だったのか、水膨れのようなところはなかったのかという検証も欠かせない。

 信頼回復への努力とともに、財源不足に対応する意味でも、不正経理のすべてを詳細に分析し、執行せずとも済んだと思われる額を明示してほしい。

 一方で、税務課に在籍していた職員が預け金から公金を詐取したとされる不祥事は、耳を疑いたくなるような問題が次々に明らかになってきた。異動時の全残高の「分配」や、税務課とは関係のない部署が登場する「二重払い」の疑惑だ。

 この不祥事は、県行政に対する信頼を根幹から揺るがしている。厳格な処分と被害回復、徹底的な事実解明などをあらためて求めたい。県の自浄能力を、県民は注視している。



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