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予算審議

2010年1月22日

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成熟議論の場に脱皮を

 通常国会は代表質問を終え、論戦の舞台は委員会に移った。政権交代を果たした民主党を中心に初めて編んだ予算案の審議が軸になるはずだったが、「政治とカネ」の問題で混沌(こんとん)としそうな雲行きになっている。

 疑惑の解明は言うまでもなく重要だが、予算案もしっかり審議してほしい。政権交代が民主主義を深化させる一歩であったならば、この際、成熟した国会運営に脱皮する姿を与野党ともに示したらどうだろう。

 なにしろ「100年に一度」と評された経済危機から回復しようとする大切な局面である。予算審議を人質にするような国会運営が繰り返されるなら国民の政治離れが進むだけだろう。国際的にも好ましくない。

 新年度予算案には、子ども手当や高校無料化など、民主党がマニフェスト(政権公約)で約束した政策がそれなりに反映されている。ただし、44兆円という過去最高の新規国債発行が前提だ。公共事業の大幅削減など産業構造を根底から変えようとすることの是非も、十分に議論してほしいところだ。

 ところが、野党国対委員長会議は、予算案より「カネ」に関する審議を優先するかのような姿勢だ。今国会の焦点とされる「3K(カネ、経済、基地)」のうち、少なくとも「カネ」は間違いなく敵失だ。看過できない問題だからこそ、予算審議とは切り離したうえで徹底追及してほしい。とりわけ政権奪還を目指す自民党にとって、「立派な野党」の姿を示すことはマイナスにはならないだろう。

 民主党の対応も褒められない。予算審議を駆け引きの材料にして政府を追及する戦略は、野党時代に覚えがあるはずだ。それなのに「カネ」について積極的に自浄作用を働かせるどころか、検察当局の情報が報道機関にリークされているとして問題視しようとさえしている。力の入れる方向が違うのではないか。まずは降り掛かった疑惑の解明に自ら努力する姿を国民は見たいのではないか。

 要するに、攻守ところを変えたときの振る舞い方、その品格だ。互いに手の内を分かっているだろうからこそ、成熟した国会運営の在り方を模索する絶好の機会にしてほしい。

 かつて日本は「経済一流、政治三流」と揶揄(やゆ)された。前者が危うくなってしまった今、成熟度の見せどころでもある。

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