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医師不足/具体的改善策見えてこない(1月23日付)
厚生労働省が昨年末に発表した2008年「医師、歯科医師、薬剤師調査」で、本県の医療施設で働く医師は人口10万人当たりで183.2人と、全国37位という低さだったことが分かった。全国平均に達するには、計算上であと約600人が必要になる。
特に産科・婦人科医が不足しており、本県は10万人当たりで6.6人と、全国で42位の少なさだった。
医師不足は住民の健康にかかわる深刻な問題だ。本県をはじめ地方では診療科がなくなり、産む環境が整わなくなって久しいが、都市部との医療環境格差は少しも縮まらない。本県でも医師確保にあの手この手で奔走するが思うように集まらないのが現状。地方自治体の医師確保は手詰まりの状況にある。
これでは地方の医療は疲弊するばかりだ。民主党は「医療破壊を食い止める」と訴え、政権交代を果たした。鳩山由紀夫首相も所信表明演説で「地域医療や救急、産科、小児科などの医療提供体制を再建する」と明らかにしている。
しかし、10年度政府予算案は医療分野でも削減が行われ、鳩山首相が唱える「命を守る政治」は視界不良のままだ。地方の医師をどのようにして増やすのかなど、医師不足対策の具体的な道筋を明確に示して実行する必要がある。
こうした中で、10年度から医療機関に支払われる診療報酬が全体で0.19%引き上げられることが決まった。大幅なプラス改定への期待が大きかった医療現場には、この程度ではという失望感があるかもしれない。だが、財政が厳しいという制約もある。診療報酬は小泉政権時代から引き下げが続いたが、民主党政権が10年ぶりのプラス改定を決めたことは評価したい。
決定を受け厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)は10年度診療報酬改定の骨子をまとめた。診療所が病院よりも高く設定されている再診料の統一に向けた検討などが含まれている。22日には福島市で地方公聴会が開かれたが、従来以上に効率的、効果的な配分を目指してほしい。
ただ、崩壊瀬戸際の地域医療を立て直すには、診療報酬の増額だけでは限界があるのも確かだ。地方での医師不足に拍車を掛けたとされる新人医師を対象にした臨床研修制度の見直しも、思うように効果を挙げていない。研修制度には新たに都道府県別の定員上限が新設されたが、10年度の本県研修病院の定員充足率は50%と前年度とほぼ同じ。医師偏在の是正にはならなかった。
巨額の公費で養成される医師は国民の財産と考え、一定期間は計画的に配置するなど、これまでのやり方にとらわれない思い切った再生策を求めたい。
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