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社説:国会論戦 やはり党首討論が必要
鳩山政権として初の通常国会は、代表質問から予算委員会へと論戦の舞台が移った。「政治とカネ」の問題をめぐり、国民の政治不信が増すばかりである。それだけに今国会で与野党が果たすべき役割は、今までにも増して大きいといえる。
衆院予算委で野党のトップバッターを務めた谷垣禎一自民党総裁が、鳩山由紀夫首相(民主党代表)との党首対決で、この「政治とカネ」の問題を中心にただしたのも当然のことだ。
何しろ、小沢一郎民主党幹事長の秘書ら3人が逮捕された収支報告書虚偽記入事件では、小沢氏ばかりでなく、鳩山首相の対応にも疑問符が付いた。小沢氏が検察と戦う姿勢を示したことを受け、「どうぞ戦ってください」と応じるなど、国のトップとして見識を欠く発言が見られるからである。
谷垣氏はこうした点をいくつか突いた。しかし鳩山首相は「検察に圧力をかける思いではない」と述べるにとどまるなど、最後まで堂々巡りの印象が否めなかった。全体として、中身の乏しい論戦だったと指摘せざるを得ない。
谷垣氏自身、少なからず消化不良を感じたのではないか。あらためて、この問題に関する集中審議を求めたのもうなずけるし、民主党も応じるべきだ。このままでは「政治とカネ」をめぐる同じようなやりとりが、いたずらに繰り返されることにもなりかねない。
思い起こしてほしい。民主党が野党時代、こうした問題で自民党政権を厳しく追及してきたことを。不正を許さないそうしたクリーンな姿勢が国民の信頼を得て、政権交代につながったともいえるのだ。にもかかわらず、与党になった途端、百八十度異なる態度に転じてしまった。これでは到底、理解を得られない。
2009年度補正予算案と10年度予算案はもちろん、米軍普天間飛行場の移設問題も、5月までと期限を区切った以上、議論を急ぐ必要がある。そうした大切な政策論議に影響が及ぶことも懸念される。
国の将来像も問う必要がある。目指すべきは大きな政府なのか小さな政府なのか、その中間の道なのか。自民党も行き過ぎた市場原理主義の反省を踏まえ、従来の小さな政府の路線から軌道修正を図るとしている。そのことも踏まえ、大所高所からの前向きな議論をすべきだ。
こんなにも課題が山積しているのだから、与野党の党首対決を今回だけで終わらせてはならない。やはり正式な形の党首討論を開き、国の基本政策の在り方などについて、真剣に議論を交わすべきである。
鳩山政権の発足以降、党首討論が一度も開かれていないこと自体、異常なことだ。国会の活性化のために導入した、せっかくの論戦の機会を放棄することがないよう真摯(しんし)な対応を求めたい。
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