2010年1月23日(土) 東奥日報 社説



■ 魅了する観光ルートに/風景街道

 東北風景街道協議会は、国土交通省所管の日本風景街道に「十和田奥入瀬浪漫街道」「奥州街道と縄文のみち」「黄花紅(おうかくれない)の東むつ湾ルート」の上北地域3ルートを、新たに登録した。

 それぞれ地域の自治体や観光関係団体、ボランティア団体などで組織する運営委員会や運営協議会が、12月の東北新幹線全線開業を見据えて申請していた。

 登録は、風景街道づくりの新たな出発点となる。地元住民が誇る景観などを一層魅力的に整え、新幹線で訪れる人々に感動を与える観光ルートに仕上げていきたい。

 風景街道は、それぞれの地域が主体となり、沿道の景観や自然、歴史、文化など個性的な地域資源を、観光振興や地域活性化に生かしていく取り組みだ。

 2007年9月から登録が始まり、東北の風景街道は今回の3ルートを含め合計20ルートとなった。本県は「青森エントランスロード」「弘前まちなか散策街道」と合わせて5ルートを登録している。

 十和田奥入瀬浪漫街道(延長120キロ)は、七戸町の東北新幹線七戸十和田駅を起点に3ルートを設定した。奥入瀬渓流・十和田湖への2ルートと、おいらせルートだ。

 十和田市の官庁街通りと現代美術館、十和田湖温泉郷、東八甲田家族旅行村、蔦沼・蔦温泉、新渡戸記念館、舘野公園など観光資源は豊富だ。

 奥州街道と縄文のみち(同121キロ)は、七戸十和田駅から太平洋岸、小川原湖周辺へ至る。

 周辺エリアは広大で、奥州街道松並木、七戸城跡、鷹山宇一記念美術館、二ツ森貝塚遺跡、仏沼、寺山修司記念館などがある。

 黄花紅の東むつ湾ルート(同37キロ)は、野辺地町から横浜町までの国道4号−279号沿線だ。

 日本最古の防雪原林、常夜燈、旧野村家住宅離れ(行在所)、菜の花畑などを結ぶ。

 風景街道は、ルートを設定し、地域資源を列挙して終わりではない。運動方針の一つである「さらなる質の向上」とは、すでに個性ある地域資源に、さらに磨きをかけ、魅力を増していくことだ。

 運営委員会・協議会は、そのために、さまざまな事業を計画している。

 十和田奥入瀬浪漫街道は、フラワーゾーンの整備や案内看板・誘導看板の設置、オープンカフェの開設、足湯の整備、景観づくりフォーラムの開催、自然ガイド養成講座の開設など、盛りだくさんの事業をそろえた。

 奥州街道と縄文のみちでは、沿道の植栽や縄文遺跡のPR、ツアーガイドの養成、バスツアーの実施などを行う。

 黄花紅の東むつ湾ルートが計画しているのは、植栽・清掃活動、観光名所やビューポイントなど休憩所の整備などだ。

 これら事業の実施には、広く地域住民の協力が欠かせない。風景街道が目指すことの一つ「地域コミュニティーの再生」にもつながるだろう。

 運動方針の一つでもある「継続的な運動。一過性で終わることのない息の長い運動」を根付かせたい。


HOME