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海外事務所 費用対効果示してほしい2010年1月23日  このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 twitterに投稿する

 県産業振興公社の香港、上海両事務所の現地スタッフを2010年度からそれぞれ1人ずつ増員する計画を県観光商工部が明らかにした。
 同公社は、香港、台北、上海、福州に事務所を置いている。いずれも県の出向職員やOBが所長を務め、各事務所に現地採用職員が1人いる。
 上海、香港は直行便があり、富裕層も多い。巨大化する市場を狙って進出する県内企業が増えているため、体制を強化するという。
 県経済の活性化に結び付くのなら、増員に異を唱えるつもりはない。気になるのは現在の海外事務所が果たしている役割が十分に見えてこないことだ。
 県は09年度予算で、20億円の補助金を県産業振興公社に措置している。その使途は、可能な限り透明化されるべきなのは言うまでもない。
 海外事務所を設けたことで、観光誘客や県産品の輸出、販路拡大、企業誘致、市場調査などにどんな具体的成果があったのか。この間の費用対効果を十分に検証し、県民の前に明らかにする必要がある。
 増員すれば香港、上海両事務所は現地採用職員が2人になるわけだが、その前に、今いる職員1人をもっと機能的に活用する余地はないのか。
 増員によって観光客がどの程度増やせるのか、県産品の売り上げをどれくらい伸ばせるのか、見通しと目標を明示してほしい。
 営業活動を成功させるには営業スタッフの情熱が欠かせない。沖縄を深く愛し、誇りを持っていない限り、沖縄を売り込むことなどできない。
 増員するなら、沖縄を熟知し、沖縄に愛情を抱き、情熱を持っている人を採用しないと、単に頭数だけ増えたという結果に終わりかねない。
 ホンダの創業者である本田宗一郎氏は「一般的にいって、どこの会社でも能率の悪い課長ほど人をほしがる」と著書で指摘している。安易な組織肥大化への戒めといえるだろう。
 県財政が逼迫(ひっぱく)する中で、業務量に応じた職員の削減・再配置は極めて重要な課題だ。県産業振興公社についても、組織再編や人員再配置によって総合力を強化していく視点が求められる。


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