ついに始まった民主党の反撃
2010/1/23 10:00 面白いことになってきた。民主党が党を挙げて検察との「全面対決」に動き出した。
小沢幹事長の土地購入をめぐる一連の報道に対し、民主党は18日、「捜査情報漏えい問題対策チーム」を設置。検察リークとしか思えない報道の情報源について調査を開始する。
この件に関し、平野官房長官は19日午後の記者会見で「あまりにも一方的に情報が媒体に出てくることで、ある意味で不公平感を感じるところはある」と言った。彼にしては珍しく、まっとうな意見だ。いま問題視されている「東京地検特捜部の検事による大マスコミへのリーク」。これが事実なら、国家公務員法の守秘義務違反は明らか。徹底的に調査すべきだ。だいたい、参考人で呼ばれた秘書やゼネコン幹部の供述が翌日には報道されているなんて、未開発国並みの捜査手法だ。
大マスコミは、例によって「報道への政治介入だ」とか騒いでいるが、民主党議員が黙っていれば「モノ言わぬ党内」だの「自浄能力がない」だの叩くくせに、よく言うよ、である。そもそも、リーク情報がなければ記事が書けない大マスコミに、「介入」ウンヌンを言う資格があるのか。
●これでムードはガラリと変わる
民主党の反撃はこれだけじゃない。事情聴取に応じていた石川衆院議員がいきなり逮捕されたことに対しても、民主党の2回生有志が集まり、「石川代議士の逮捕を考える会」を立ち上げた。18日の初会合では、元検事の郷原信郎弁護士を招いて逮捕の妥当性について議論。「不当逮捕だ」という声も上がった。「石川議員の身を案じる同期会のようなもの」(参加者)というが、“釈放要求”の発議も選択肢のひとつだ。
メンバーのひとりで、衆院法務委員会の民主党側筆頭理事でもある石関貴史衆院議員は、憤りを隠さず、こう語る。
「石川氏は国会議員。しかも国会の開会直前で、逃亡の恐れは全くなかった。容疑もハッキリしないし、本当に逮捕する必要があったのか疑問です。それに、石川氏の逮捕直後から、当事者しか知り得ない情報が、新聞紙面を飾っている。検察当局は『リークはしていない』というが、じゃあ、誰が情報を漏らしているのか。漏洩元を突き止められないとすれば、捜査能力に問題があると言わざるを得ません。検察当局は、自分たちの組織すら取り締まれなくて、どうして適正な捜査ができるでしょうか」
また、民主党の松木謙公国対副委員長と樋高剛副幹事長は19日、石川議員の元秘書だった金沢敬氏に対し、法的措置を検討していることを明らかにした。自民党の勉強会に呼ばれた金沢氏がうれしそうにペラペラしゃべっていた内容は、虚偽が含まれていて、「名誉棄損だ」という認識だ。金沢氏は、地検のネタ元ともいわれている。
小沢幹事長と検察との「全面戦争」を党として支える態勢が整いつつあるのだ。
善良な国民の中には、検察は独立した機関で、悪いヤツに天誅を下す「正義の味方」と信じている人も多いだろう。残念ながら、それは幻想だ。脱官僚・政治主導を掲げる民主党を潰そうと、1年前から“変容”したのは間違いない。言ってみれば、有権者が選んだ新政権を一行政組織が倒そうとするクーデターのようなもの。新政権がその監視とチェックに動き出すのは当然のことなのだ。
(日刊ゲンダイ2010年1月20日掲載)
小沢幹事長の土地購入をめぐる一連の報道に対し、民主党は18日、「捜査情報漏えい問題対策チーム」を設置。検察リークとしか思えない報道の情報源について調査を開始する。
この件に関し、平野官房長官は19日午後の記者会見で「あまりにも一方的に情報が媒体に出てくることで、ある意味で不公平感を感じるところはある」と言った。彼にしては珍しく、まっとうな意見だ。いま問題視されている「東京地検特捜部の検事による大マスコミへのリーク」。これが事実なら、国家公務員法の守秘義務違反は明らか。徹底的に調査すべきだ。だいたい、参考人で呼ばれた秘書やゼネコン幹部の供述が翌日には報道されているなんて、未開発国並みの捜査手法だ。
大マスコミは、例によって「報道への政治介入だ」とか騒いでいるが、民主党議員が黙っていれば「モノ言わぬ党内」だの「自浄能力がない」だの叩くくせに、よく言うよ、である。そもそも、リーク情報がなければ記事が書けない大マスコミに、「介入」ウンヌンを言う資格があるのか。
●これでムードはガラリと変わる
民主党の反撃はこれだけじゃない。事情聴取に応じていた石川衆院議員がいきなり逮捕されたことに対しても、民主党の2回生有志が集まり、「石川代議士の逮捕を考える会」を立ち上げた。18日の初会合では、元検事の郷原信郎弁護士を招いて逮捕の妥当性について議論。「不当逮捕だ」という声も上がった。「石川議員の身を案じる同期会のようなもの」(参加者)というが、“釈放要求”の発議も選択肢のひとつだ。
メンバーのひとりで、衆院法務委員会の民主党側筆頭理事でもある石関貴史衆院議員は、憤りを隠さず、こう語る。
「石川氏は国会議員。しかも国会の開会直前で、逃亡の恐れは全くなかった。容疑もハッキリしないし、本当に逮捕する必要があったのか疑問です。それに、石川氏の逮捕直後から、当事者しか知り得ない情報が、新聞紙面を飾っている。検察当局は『リークはしていない』というが、じゃあ、誰が情報を漏らしているのか。漏洩元を突き止められないとすれば、捜査能力に問題があると言わざるを得ません。検察当局は、自分たちの組織すら取り締まれなくて、どうして適正な捜査ができるでしょうか」
また、民主党の松木謙公国対副委員長と樋高剛副幹事長は19日、石川議員の元秘書だった金沢敬氏に対し、法的措置を検討していることを明らかにした。自民党の勉強会に呼ばれた金沢氏がうれしそうにペラペラしゃべっていた内容は、虚偽が含まれていて、「名誉棄損だ」という認識だ。金沢氏は、地検のネタ元ともいわれている。
小沢幹事長と検察との「全面戦争」を党として支える態勢が整いつつあるのだ。
善良な国民の中には、検察は独立した機関で、悪いヤツに天誅を下す「正義の味方」と信じている人も多いだろう。残念ながら、それは幻想だ。脱官僚・政治主導を掲げる民主党を潰そうと、1年前から“変容”したのは間違いない。言ってみれば、有権者が選んだ新政権を一行政組織が倒そうとするクーデターのようなもの。新政権がその監視とチェックに動き出すのは当然のことなのだ。
(日刊ゲンダイ2010年1月20日掲載)
2010/1/23 10:00 更新