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強くて、切っても元通りの新素材 原料のほとんど水分

2010年1月22日19時48分

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写真:ほとんど水からできた新材料=東京大提供ほとんど水からできた新材料=東京大提供

 ほぼ水だけを原料としながら、強度があり、切ってバラバラにしてもくっつけるだけで元にもどる新材料を、東京大の相田卓三教授たちのチームが開発した。環境や生体への負荷が少なく、主に手術の材料など医療分野への応用が期待される。21日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に掲載された。

 全体の重さの95%以上が水分で、他の原料は、化粧品などにも使われる天然由来の粘土(2〜3%)と、新たに開発した有機物(0.2%以下)。室温で数秒間混ぜると、この有機物が水に混ざった粘土のつなぎ目役となり、大量の水を含んだまま固まる。廃棄後には、自然界の酵素によって分解する。

 こんにゃくの約500倍の強度があり、切っても、切断面がくっつき合い、数秒で元通りになる。ゴムのような弾性も実現できる。相田教授は「手術中にも簡単につくれ、傷口をふさぐ材料に使ったり、人工関節の成分として使ったりできるだろう」と話す。強度を高めるなどの改良を進めれば、プラスチックなど一部の石油製品を代替する可能性もあるという。(田中康晴)

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