健のピアノ演奏を聴いた博人は、強い衝撃を受ける。それは確かに、浩志の音だった。直は浩志の夢を健のピアノに託して本気で叶えようとしている──博人の言葉に、健は直を誤解していたことに気づく。
健は直のもとへ駆けつける。結婚指輪を外したその手をつかみ、今の健を愛しているのではないか、と直の本当の気持ちを確かめようとする。さらに、健は直の愛がなければ生きている意味がないと訴えるが、心を閉ざした直は拒絶する。
直は健に見せつけるように、柏木と大人の関係であるかのような芝居をする。それでも、直を愛さずにはいられない健。直と健が互いに愛し合うのは運命で奇蹟だから、誰に非難されても一緒に生きていこう、と情熱のすべてをぶつける。直を強く抱きしめると、その瞬間、頑なだった直の心がほどけて、直は健の愛にこたえようとする。そのとき、電話が鳴り...。