2010年01月18日

◆ 人間も単為生殖する?

 昆虫などの下等生物では、(オスなしで)メスだけで子を生むという「単為生殖」をすることがある。
 ところが人間も同様のことが可能である……と政府が決めるらしい。

 ──

 人間も単為生殖する……とういのは、もちろん馬鹿げている。(人間の)女同士だけで、子を産めるはずがない。まして女同士から男が生まれるはずがない。
 ところが、である。「それはできる」という方針を政府が決めるそうだ。
 この方針は、「(生物学的に)女同士の夫婦から生まれた子供を、嫡出子として認める」というものだ。朝日の社説を紹介しよう。
 結婚している男女が、第三者の精子を使って人工授精で子をもうけたら一般的には嫡出子だが、性同一性障害のため性を変えた夫と妻の場合は非嫡出子とする。こうした法務省の認定に、兵庫県宍粟(しそう)市に住む夫と妻は納得がいかなかった。
 夫妻の強い思いを知った千葉景子法相は、現行の扱いを改善し、そうした子を夫妻の嫡出子として認める方向で検討することを表明した。
( → 朝日・社説 2010-01-14
 この方針が決まれば、冒頭で述べたとおり、「人間の女同士だけで、子を産める」という結論になる。本当は他人(第三者である男性)の精子が必要であるのだが、それを否定して、「女だけで単為生殖ができる」と主張するわけだ。  (^^);

 朝日の社説に従えば、嫡出子として認めないことは「親子関係について差別を受けるので不合理だ」ということになるらしい。しかし、これは成立しない。
 第1に、「差別」というのが法的な差別のことであれば、そんな差別は存在しない。なぜなら、その子供たちは全員が非嫡出子なのだから、嫡出子から差別されることはないからだ。(法定相続が半分、という件も、全員が非嫡出子ならば、問題は生じない。)また、「尊属殺」という殺人罪の場合は、嫡出子だけが重く罰せられるのであって、非嫡出子はかえって有利な立場にある。区別はあるが、差別ではない。(差別の逆だ。)
 第2に、社会的な差別感情について言うなら、これは法律の関与する問題ではない。(また、女同士の子供を「嫡出子」と決めたところで、差別がなくなるとも言えない。「女同士の夫婦から生まれた子供」ということがバレれば、結果は同じだ。)

 なお、たとえ人工授精であっても、男と女の夫婦が産んだ子供は、「嫡出子」として推定される。これは、仕方ない。なぜなら、人工授精であるか否かにかかわらず、男と女の夫婦が産んだ子供は、「嫡出子」として推定しないと、「あらゆる夫婦は子供が産まれるたびに DNA 鑑定をして、夫婦の子供であることを証明せよ」ということになってしまう。それは、現在ではかろうじて可能かもしれないが、数年前までは不可能なことだった。(今だって不可能かも。毎年百万人以上の新生児を検査する処理能力はない。)
 男と女の夫婦が産んだ子供は、「嫡出子」として推定される。ここでは「推定」が自然なことだ。しかし、女と女の夫婦が産んだ子供は、「嫡出子」として推定されない
 しかるに、推定されると見なすとしたら、「人間は単為生殖で産まれる」という推定が成立していることになってしまう。これが、法相や朝日の主張だ。馬鹿げている。
( ※ あるいは、ひょっとしたら、「女一人でなく女二人でなら子供を産める」という主張かも。この場合は、単為生殖でなく、レズビアニズム生殖という奇妙な新概念ができる。  (^^); )

 ──

 では、どうすればいいか? 私としては、こう提案したい。
 準嫡出子というカテゴリーを新たに設ける」
 準嫡出子は、夫婦から産まれた子供(嫡出子)でもなく、不倫によって生まれた子供(非嫡出子)でもなく、人工授精によって生まれた子供である。
 そして、夫婦が男と女であるか、女と女であるかにかかわらず、人工授精によって生まれた子供は準嫡出子として認定する。
 つまり、法律が現状に追いついていないのであれば、法律を現状に即して改定すればいい。それだけのことだ。

 差別をなくすためという目的はいい。しかし、そのために、生物学的な真実を塗り替えてしまって、非科学的な虚偽を真実であるかのごとく決めるというのは、滅茶苦茶だ。「人間は単為生殖をする」というデタラメな方針は、ひっくり返すべきだ。こんな説は、「人間は神が創造した」とか「進化はなかった」とかいう神学的な説よりも、さらにひどい。

( ※ 本来ならばトンデモマニアが「トンデモだ!」と批判すればいいのだが、トンデモマニアが攻撃する相手は弱者に限られる。政府がデタラメな主張をしたときには口を閉じて黙っている、というのが、トンデモマニアのポリシーだ。トンデモマニアは弱きを挫き、強きになびく。だから私が声を上げる。)
 


 [ 付記1 ]
 相続税の非嫡出子の分が、嫡出子の半分だ、という点については、最高裁で違憲判決が出た。しかし、非嫡出子と嫡出子を同じにすると、今度は嫡出子が差別されてしまうことになる。
 嫡出子は、その両親の遺産を相続できる。一方、非嫡出子は、自分の母親(およびその再婚相手である義父)の遺産を相続できるし、生みの親の夫婦の遺産をも相続できる。二つの夫婦の遺産を相続できることになる。遺産の二重取りだ。
 これでは、嫡出子が差別されてしまうことになる。
 だからどうしろ、という話になるわけではないが、とにかく、「差別をなくせ」という単純な人道論で片付くわけではない、と理解するべきだ。 
 
 [ 付記2 ]
 やたらと「差別は駄目」と言い出すと、レズ同士の結婚や、ホモ同士の結婚も、認められるようになるだろう。また、そこに生まれた子供も、「嫡出子」として認定されるようになるだろう。
 しかし、レズ同士やホモ同士を親とする子供は、かわいそうだ。まともな親をもてないことになる。ひどすぎる。
 女同士または男同士からは、子供は生まれない。それが生物学的な事実だ。そういう仕組みになっているのだ。それにあえて逆らおうとするのは、あまりにもおかしい。こんな方針が推進されたら、そのうち、人類はみんなレズ同士やホモ同士になって、滅亡してしまうかもしれない。  (^^);



 [ 余談 ]
 レズやホモは奇形なのだから、子供を産むべきではないのだ。少なくともこの点については、ダーウィニズムや社会進化論の方が正しい。奇形の人間にも生存する価値は立派にあるが、奇形の人間がさらに増殖しようとするのをあえて推進するべきではないのだ。

 「子供を産む権利」というのを主張する人もいる。だが、とんでもない話だ。
 男であれ女であれ、「子供を産む権利」なんてものはない。「子供を産む権利」なんてものがあるとしたら、女性または男性による強姦が正当化されてしまう。子供は、両性の合意による行為のあと、自然に生まれるものだ。権利によって生まれるのではない。
 どんな人間であれ、自分以外の人間の生死を決定する「権利」などはない。ここで「権利」を口にするのは、あまりにもおこがましすぎる。子供を親のペットだと勘違いしているのだろう。
 そう言えば、「子供の名前を付ける権利」というのを主張する馬鹿もいたな。そんな権利などは存在しない。権利があるとしたら、子供本人であり、親はその権利を委嘱されているだけだ。子供は親の私有物ではない。そのことを理解できない親がいるとしたら、そんな親をもつ子供はかわいそうだ。
 ともあれ、生物学的な真実は、法律や権利などの概念によって決まるのではない。両性の生物学的な行為(*)によってのみ決まる。

     (*) エッチ!    ホテル トイレ

    
posted by 管理人 at 19:41 | Comment(2) | 一般 (雑学)
この記事へのコメント
現在の科学にてDNA鑑定が最有力である。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、
「性同一性障害者が次の5つの要件を満たす・・」の要件にDNA鑑定項目は無い。(各要件はWikipediaを参照)

管理人さんの「付録2」の主張は生物学的な見解なので、本来なら極稀に誕生するDNAにてXX男子、XY女子等を議論するのかと思います。現状の「専門的な知識を有する医師2名以上・・」「5つの要件・・」では、やれやれ、トホホ・・と感じます。ただ、このことに関して議論すると収拾がつかないので管理人様はあえてふれていないとも思えます。

上記の事より、身勝手な私見と願いを述べれば以下になる。
1)本件の夫がXY女子ではれば本人の主張を認めて欲しい。
2) 管理人様が指摘されているように、本来の夫婦は男XYと女XXであるので、自分達は極稀な特異なケースであり、その子供には無関係な事柄であってほしい。
3)本件夫婦が子供(特異な遺伝子か解らない)のために主張されているのであれば応援したい。

以上
Posted by pino at 2010年01月19日 14:36
 何だか勘違いしている人がいるので注釈しておくが、本項は性同一障害者や同性愛者を差別せよ、という趣旨ではない。
 これらの人には特別な権利があるから、法律をねじ曲げて、虚偽を真実のごとく詐称させよ、という非科学的な主張を批判しているだけだ。

 誰が得をするとか損をするとかいう人間レベルの損得は関係ない。真実を語るか嘘を告げるかという問題だ。
 勘違いしないようにしてほしい。

Posted by 管理人 at 2010年01月19日 21:09
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