ここから本文エリア 飲酒事故遺族、早大で講義2010年01月22日
◇08年熊谷9人死傷、大学院生ら企画 熊谷市で2008年に9人が死傷した飲酒運転事故の遺族が21日、早稲田大学(東京都新宿区)で講義した。「これから社会に出る学生に、人権や命を考えるきっかけを」と同大学院生らが企画。出席した学生たちは、苦しみを語る遺族の声に、真剣な表情で聴き入った。 ◇「自分に置き換えて考えてみて」苦しみ語る 講義したのは、両親を失い、妹と弟も重傷を負った東松山市の小沢克則さん(33)と妻の樹里さん(29)。事故や刑事裁判を報じた新聞紙面を教室のスクリーンに映し、経緯や心境などを語った。 小沢さんは妹と弟が後遺症に苦しんでいるとして、「交通事故は見知らぬ人同士の人生を壊す。人を恨み続けることは、とても苦しいことだった。自分の身に置き換えて考えてもらいたい」と語った。 樹里さんは「家族が被害に遭ったのは偶然でも、飲酒事故が起きたことは偶然ではない。なくすことができる飲酒運転をしてはいけない」と涙ながらに訴えた。学生から「車社会の中で飲酒運転をなくすことは難しいのでは」と質問され、「遅い時間までバスを運行させるなど、法律だけではなく行政や地域の力も必要」と答えた。 今回の講義は、交通事故や事件で亡くなった人たちの等身大パネルに遺品などを添える「生命のメッセージ展」のメンバーが企画した。同展の早稲田支部代表を務める同大学院生の松崎一優さん(23)が昨年、小沢さん夫妻の話を聞き、「授業でも生の声を聞ける機会を」と依頼した。 教室には、同展で使われているパネルが展示され、目を潤ませながら見入る学生もいた。政治経済学部3年の投野義幸さん(21)は「当事者の気持ちを理解することは大事だと思った」と話していた。
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