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【政治】

官房長官 しどろもどろ 天皇特例会見と憲法

2010年1月22日 朝刊

衆院予算委で平野官房長官(右)と話す鳩山首相=21日午後

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 二十一日の衆院予算委員会で、憲法解釈をめぐる政府答弁が迷走した。鳩山政権は政治家同士の論戦を目指すとして、今国会から内閣法制局長官の答弁を禁じた。いざ憲法問題を質問されると、「法の番人」抜きには対応できない醜態をさらしてしまった。

 憲法問題を取り上げたのは、自民党の谷垣禎一総裁。昨年十二月の天皇陛下と中国の習近平副主席の特例会見を取り上げ、天皇の外国要人との会見が憲法が定める国事行為に当たるかどうか、鳩山首相に尋ねた。

 答弁に立とうとした首相を制して挙手した平野博文官房長官は「公的行為だ」と即答した。天皇の公的行為は、内閣の助言と承認によって行われると憲法に明記された国事行為と異なり、法律に明文規定がない。

 谷垣氏が公的行為に関する内閣の責任について見解を求めると、平野氏は何を勘違いしたのか「(国の)象徴たる天皇の行為として(公的行為は)当然認められる」と的外れな答弁。谷垣氏は「(公的行為)の根拠を聞いているのではない」と声を荒らげた。

 平野氏は「法律的な問題だから、後刻答える」とその場を収めようとしたが、谷垣氏は「時間のムダだから、私から答えます」と一蹴(いっしゅう)。委員室からは失笑が漏れた。

 谷垣氏が天皇の政治利用を防止するためのルールをただしたのには、平野氏は「前政権にはあったんでしょうか」と逆質問。しどろもどろの答弁も繰り返し、谷垣氏に「官房長官に問いかけるのはお気の毒だ」と同情される始末だった。

 内閣法制局長官の答弁禁止をめぐっては、政府にも「きつい。想定外の質問が出たら詰まってしまう」(閣僚)と心配する声が出ていた。悪い予感は本格論戦の初日に的中した。 (関口克己)

 

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