日本政府の巨額為替介入−関連記事 | ||
財務省:溝口財務官、「ミスター・ドル」に 米経済誌 (2004.3.15 毎日新聞) |
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米経済誌ビジネスウィークの22日付アジア版は、政府・日銀による戦後最大のドル買い・円売り介入の司令塔の役割を演じている財務省の溝口善兵衛財務官を「ミスター・ドル」と名づけた。(Don’t Let Japan’s "Mr. Dollar" Get Away With It) 1990年代に市場介入に積極的に取り組んだ榊原英資・元財務官が、市場への影響力の大きさから海外で「ミスター円」と命名されたことがあるが、溝口財務官の場合は、景気が回復してきたにもかかわらず、ドルを買い支えていることから、日本の輸出企業の支援策などと皮肉られる内容となった。 同誌は「顔は見えない官僚だが市場では名声があがっている」と巨額のドル買い介入を継続する溝口財務官を紹介し、「1ドル=120円まで円の押し下げを狙ってるかもしれない」と推測。 そのうえで「昨年10〜12月期が年率6.4%の高成長を記録するなど介入を正当化できない」と指摘し、「人工的な円安維持は欧米企業の競争力を弱めている」などの海外からの反発を交えながら、「日本経済は1ドル=105円でも耐えられる」と主張し、政府・日銀の安易な介入姿勢を厳しく批判している。 |
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問題になっている異様な巨額円売り介入 それが輸出産業を助け景気回復を演出しているが、そのリスクは大きい −専門筋が懸念しているその異常な政策の結末− (2004.3.8 日刊ゲンダイ) |
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小泉構造改革など真っ赤な嘘。売ることもできない米国債を5000億ドル(55兆円)も買い込んでアメリカ赤字を埋め、日本の輸出企業(大企業)を助け、この国の中小企業や庶民生活をドン底に追い込んでいる歪んだ政治の実情 |
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日経平均株価が先週末、1年9カ月ぶりに1万1500円を突破した。 小泉首相は「構造改革の成果」と浮かれているのだろうが、株高の理由はハッキりしている。 昨年以降、30兆円もプチ込んでいる異常な為替介入の”おかげ”である。 「政府の円高阻止ドル買い介入で、今や1ドル=115円に迫る勢いです。 自動車、電機など大手輸出企業は1ドル=105円程度を想定していますから、ここまで円安が進むとポロ儲け。 昨年来の政府の介入で円は5〜6円安くなり、10-12月期のGDPを0.3ポイントも押し上げたというデータもあるほどです」(大手銀行アナリスト) 政府が買ったドルは米国債にバケて、それが米国の財政赤字を埋めている。 そのため、米国の金利上昇は抑えられ、青い目のリスクマネーが日本株に回ってきている。 要するに政府の金が回り回って株価を押し上げている構図なのだが、あざとい小泉政権はここぞとばかり、「景気回復」を大PR。 しかも「為替介入による株高」に昧をしめたのか、円高懸念が遠のいた3月以降も「押し下げ介入」とか言って巨額の円売り・ドル買い介入を続けている。 その結果、政府の外為特会は異常に膨張していて、パチンとはじける寸前なのである。 政府はこんなインチキをいつまで続けるつもりなのか。 ■グリーンスパンも懸念した異常な為替介入 実は、米国のグリーンスパンFRB議長も今月2日、政府の異常な為替介入にこう警鐘を鳴らしていた。 「日本は大規模な円高阻止介入を続ける必要がなくなりつつある。最近の経済動向がそれを示している」 米国は日本のドル資金で米国債を買い支えてもらっている。日本がドル買いをやめたら困るのは米国なのだが、あえてグリーンスパンは警告した。もう見ちゃいられないということだ。 「当然でしょうね。日本政府は昨年1年間で20兆円もの為替介入を行った。 これも異常ですが、今年は1、2月ですでに10兆円を使っている。とにかく、円高で輸出産業が腰折れするのを防ぐために、明日なき巨額介入を続けているんです。 でも、こんな介入をいつまでも続けられるわけがない。いまでも政府保有の米国債は5000億ドルを実破している。 異常な規模で、米国債が暴落すればアウトです。為替の評価損リスクもある。1ドル=110円だと外為特会は10兆6000億円もの評価損を抱えてしまう。 金融緩和で介入資金の”出し手”になっている日銀も無理に無理を重ねている。アチコチに爆弾を抱えていてハラハラします」(経済評論家・広瀬嘉夫氏) しかも、こんなに苦労して得をするのは誰かというと、海外に生産拠点を移して円高体力がついているひと握りの勝ち組輸出企業だけ。 トヨタ(7203)やキャノン(7751)などわずか20、30社だ。中小輸出業者は儲からず、景気浮揚効果もたかが知れているのである。 あまりに割が合わない介入ではないか。 そういえば、元財務官の行天豊雄氏も日経新聞で「(巨額の為替介入は)平常とは言えない。抱える潜在リスクが拡大している。介入依存の政策を変える時期だ」と話していた。これがマトモな専門家の見方なのだ。 ■福井・竹中コンビは何を企んでいるのか(政府・日銀の金融政策) もう一つ、見過ごせないのが政府に連動している日銀の怪しい動きだ。 福井俊彦総裁が就任してから1年、日銀はすさまじい勢いで金融緩和をエスカレートさせている。銀行に求める当座頭金残高は15兆円も増えて、現在35兆円。年末には50兆〜60兆円という声すらある。 政府は円売りを続け、日銀は金融緩和で歩調を合わせる。史上、例を見なかった政府、中央銀行のタッグによる的緩和」が、公然と行われているのである。 大阪商大教授の佐和良作氏(金融論)はこう言う。 「極めて異例なことで、多分、歴史上初めての実験だと思います。日銀は政府との連動を否定するかもしれないが、政府が政府短期証券を発行し、金融機関が購入、政府はその資金でドルを買う。金融機関が政府短期証券を買うのは、日銀がジャブジャブお金を供給して余力があるからです。こうなると日銀が円安に協力し、円の価値を目減りさせて、キャピタルフライトを助長させていることにもなりかねない。これはおかしな話ですよ」 小泉首相はわけが分からないのだろうが、竹中金融・経財相は絶対怪しい。 財務官僚や福井日銀総裁と一緒になって、一体何を企んでいるのか。 ちょっとした株高にゴマカされていると、とんでもないことになりそうだ。 ■為替介入より「内需充実で景気回復」が王道 本来なら、こんな危なっかしい為替介入ではなく、構造改革で内需を充実させ、力強い景気回復につなげるのが王道だ。 「そもそも外需依存の経済運営に限界があるんです。外需依存経済は為替リスクにさらされ、中国や米国のバブルがはじければ、日本も共倒れになってしまう。だからこそ、構造改革による内需拡大策が急務だったのに、小泉政権は口先だけで何ひとつ実行に移していない。外需依存はそのままで、強引に円安に持っていってゴマカすしかないのです」(広瀬嘉夫氏=前出) 恐ろしいのは、こんなデタラメ政策の行き着く先だ。 政府のドル買い介入は、米国政府も日本政府も投資家も、今のところ”損失”は出ていない。 しかし経済でみんながずっとハッピーなんてあり得ないから、いつか誰かがババを引かされる。間違いないのは、日本政府は絶対に逃げられないということだ。 日本政府が介入をやめれば、その瞬間、円高懸念が台頭、米国債暴落リスクも高まり、市場はグチャグチャになる。あまりにも巨額の米国債を保有している日本は動くに動けず、破局を待つしかないのである。 米国の格付け機関、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ/Standerd & Poor's)は、ドルが暴落した時、日本政府の為替や米国債の評価損はどこまで膨らむかの試算を始めている。ツケはもちろん、国民にハネ返ってくる。 ■このまま介入し続ければ超インフレ間違いなし もう一つの悪夢のシナリオは、超インフレの到来だ。 グリーンスパンは「このまま巨額介入を続ければ金融政策上、逆の問題となる」と警告していたが本当だ。 日銀がジャブジャブお札を刷り、それが回り回ってドル買い資金になっている現状を放置すれば、いずれインフレになるのは中学生でも分かる。 実際、外資はインフレ・到来を見越しているようだ。財務省が今月初めて「物価連動国債」を売り出したところ、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)やBNPパリバ(BNP Paribas)が飛びつくように買っていた。 モルガン・スタンレー証券(Morgan Stanley)は「忍び寄るインフレ」と題したリポートを先月発表。借金が多い企業の銘柄をリストアップしていた。ひとたびインフレに転じれば、過剰債務企業の方が”株価のうまみ”があるということだ。
だが、インフレは庶民にとっては地獄だ。「インフレで得をするのは、700兆円の借金を抱えた国と、不良債権にあえぐ金融機関、資産が目減りして借金漬けの不動産業者くらいです。 庶民の生活は間違いなく今より苦しくなります。 一時的に給料は上がるでしょうが、物価上昇ペースに追いつけない。住宅ローンなどの長期金利はハネ上がり、1400兆円の個人資産は目減りする。 政府にインフレを制御する力がない以上、安易なインフレ政策はあまりにも無謀だし危険なのです」(佐和良作氏=前出) 民主党の大塚耕平・参院議員は「小泉政権がやろうとしているのは、円高抑制というよりは、円の大量増刷が自的化している。紛れもないインフレ政策です」と言っていた。 構造改革に頓挫した小泉無能政府は、インフレ政策で一時的に景気回復を演出し、あとは野となれ山となれというわけだ。 この政権の正体は、改革に手をつけず、場当たり政策でゴマカしてきた歴代政権と一緒だ。国民はもう目を覚ますべきである。 |
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関連記事 | ||
円高介入:グリーンスパンFRB議長が日本批判 (2004.3.3 毎日新聞) |
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【ワシントン竹川正記】グリーンスパン(Chairman Alan Greenspan)米連邦準備制度理事会(FRB=Board of Governors of the Federal Reserve System)議長は2日、ニューヨークで講演し「日本の最近の経済動向は、金融政策上の要請に基づいた大規模な円高阻止介入をもはや続ける必要がなくなりつつあることを示している」と述べ、今回の円高・ドル安局面で初めて日本の介入を批判した。 スノー米財務長官も先週末「日本の景気回復は過度に外需に頼り過ぎている」と述べている。 円高阻止介入をデフレ克服や構造改革推進の緩衝材として大目に見てもらってきた日本だが、今後は内需主導の自律的な成長を迫られそうだ。 議長は講演で「最近の日本の景気改善の兆候がデフレ傾向を減じれば、介入継続は金融政策上、逆に問題となろう」と分析。 人民元のドルとの固定相場制維持のため多額のドル買い介入をしている中国についても「(為替制度を改革しなければ)景気過熱に直面しよう」と警告。 介入停止で日中の米国債購入が止まれば米長期金利の上昇圧力が増すとの見方に「実際の影響は小さいだろう」と懸念を否定した。 |
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2003年の米国債、日本が純増額の44%購入 (2004.2.20 日経新聞) |
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【ワシントン=吉次弘志】2003年の米国債保有残高の純増額のうち、日本が買い増した額が全体の44.3%の1671億ドル(約17兆5500億円)に達したことが米財務省(U.S. Department of the Treasury)の調べでわかった。 多額の円売り・ドル買い介入を実施した日本が米国債を買い支えた形。 同年の純増額のうち日本を含めた海外全体の比率も77.5%に上り、米国債購入の海外依存を懸念する声が米国内で強まる可能性がある。 2002年の純増額に占める比率は日本が13%、海外全体が42.9%にとどまっており、2003年はそれぞれ大幅に拡大した。 米財務省によると、海外が保有する03年末の米国債残高は1兆5311億ドル。 2002年末比で23.6%増え、残高全体に占める海外の比率も02年末の19%強から23%弱に高まった。 日本の2003年末の残高は2002年末に比べ44.2%増加。全体の残高に占める比率も8%と、02年末の5.9%から上昇した。 円高に対応して日本政府が2003年中に20兆円もの円売り・ドル買い介入を実施したのが急増の理由。 |
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