インフラ整備に粘菌の知恵 餌求め高効率の経路形成アメーバ状の単細胞生物「真正粘菌」を駅に見立てた餌を配置した容器内に這わせると、体を引き伸ばしながら、実際の鉄道網より輸送効率などに優れたネットワークを形作るとの研究結果を中垣俊之北海道大准教授や広島大などのグループがまとめ、22日付米科学誌サイエンスに発表した。 費用対効果の高い通信網の設計など、人間が都市のインフラ整備を行う際、粘菌の“知恵”を借りられそうだという。 真正粘菌は餌に接触すると、その周囲に体を集める性質を持つ。餌が散らばっていると餌と餌の間に管を形成し、管を通じて栄養分や自らの体を移動させる。よく使う管は太くなり、不要な管は消えてなくなる。 中垣さんらは、関東地方の形をした容器内に主要な鉄道駅に見立てた餌を36カ所配置。山手線に相当する中央部に最も大きな餌と粘菌を置き、観察を繰り返した。 すると、粘菌が作るネットワークは常に同じ形になるわけではないが、中には実際にある関東地方の鉄道網より効率的な形だったり、経路の一部が寸断されても迂回路が用意されていてトラブルに強かったりするケースがあることが分かった。 【共同通信】
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