鷹野 隆大

作品展 『男の乗り方』

2006年10月13日(金)〜 11月16日(木) 祝日・日・月曜日休廊
10:30〜18:30(土〜17:30)

2006年07月30日(日)

 十年来乗ってきたママチャリをスポーツタイプに乗り換えた。ぴかぴかのイタリア製高級車だ。欲しくて買ったのではない。特別な人との関係が区切りを迎えた時に譲り受けたのだ。
 自転車は普段から下駄代わりのようによく乗る、ぼくにとってはもっとも馴れた乗り物だ。いつもの気安さで近所を走っていた、その時だった。狭い歩道で向かいを歩く人の背後から自転車が飛び出してきた。とっさにブレーキをかけようと握った指が空を切り、ぼくはそのまま電柱に突っ込んだ。いままでと形状が違うため、体が記憶している位置にブレーキがなかったのだ。以来、新しい自転車は普段履きの下駄からよそ行きの革靴になった。見栄えはいいが、乗るときは緊張を強いられる。
 今回はすべて男の写真で構成する。自分も男だし、馴れたつもりになっていた。だが、ふと気が付けば、ストレートに撮ったものがあまりない。同じ自転車でも機種によって違いがあるように、男にもまた、それぞれに男の乗り方があるのではないか―。
目指すのはママチャリより、色気たっぷりのスポーツタイプ。「ただのポルノじゃないか」と難じられたら、「その通り」と答えられるようなものにしたいと思っている。

鷹野隆大 2006/ 7

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鷹野 隆大(タカノ リュウダイ)
1963 福井市生まれ
1987 早稲田大学 政治経済学部卒
2006 第31回木村伊兵衛写真賞受賞
<個展>
1994 「こわれてゆく女の標本」平永町橋ギャラリー/東京
  「日本」コニカプラザ東ギャラリー/東京
1995 「ポルノグラフィー」平永町橋ギャラリー/東京
1996 「集合する肉体」イル・テンポ/東京
1999 「人体ーその等倍という幻想」ツァイト・フォト・サロン/東京
2000 「ヨコたわるラフ」ツァイト・フォト・サロン/東京
  「カ・ラ・マ・ル」ギャラリーmai/東京
2001 「たとえば、裸体」イル・テンポ/東京
2002 「Twelve Messengers(十二使徒)」ツァイト・フォト・サロン/東京
2006 「Common Sense」ツァイト・フォト・サロン/東京
2008 「イン・マイ・ルーム」ナディッフ/東京
  「第31回木村伊兵衛写真賞受賞作品展」コニカミノルタプラザ/東京
<グループ展>
2000 「VOCA展2000」上野の森美術館/東京
2001 「手探りのキッス 日本の現代写真」東京都写真美術館/東京
2002 「手探りのキッス 日本の現代写真」丸亀市猪熊弦一郎現代美術館/香川
  「Japanese Contemporary Art 展」トルコ中央銀行ギャラリー/イスタンブール(トルコ)他
2003 「Mask of Japan : Japanese Contemporary Photography」aura gallery/上海(中国)
2004 「日常の変貌」群馬県立近代美術館/群馬
  「out of the ordinary / extraordinary」カーサ・アジア/バルセロナ(スペイン)
2005 「out of the ordinary / extraordinary」ベルリン東アジア美術館/ベルリン(ドイツ)
  「85/05:幻のつくば写真美術館からの20年」せんだいメディアテーク/宮城
  「ポスト・ジェンダー」ティコティン美術館/ハイファ(イスラエル)
<パブリック・コレクション>
  東京都写真美術館
  国際交流基金

関連情報 2006.10 2006.4 2006.3 2005.3 2005.3_b 2004.12 2002.10

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