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アルコールと病気（４）肝炎　急激な重症化も

　

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重症型アルコール性肝炎について説明する堀江義則さん（東京都台東区の永寿総合病院で）

　東京都の４０歳代の女性Ｂ子さんは２００６年、起床時に、ひどいだるさに見舞われた。体が鉛のように重く、鏡を見ると白目が真っ黄色になっていた。驚いて受診した永寿総合病院（東京都台東区）でアルコール性肝炎と診断され、入院した。

　当時、飲食店に勤務していたＢ子さんは、毎晩ビール５００ミリ・リットルを５本ほどという多量飲酒を重ねていた。その２年前にもだるさで近所の医院を訪れ、血液検査で肝機能の低下を指摘され、酒を控えるように言われていた。一度は酒の量を減らしたものの、体調が回復すると元に戻ってしまった。

　アルコールは肝臓で分解されると脂肪が生まれ、たまると脂肪肝になる。さらに飲み続けると、肝臓に炎症が起こって腫れ上がり、肝機能の低下や発熱、だるさ、血液中の胆汁色素の量が増えて白目や皮膚が黄色く見える黄だんなどの症状が表れる。

　アルコール性肝炎は通常、酒をやめれば数日で回復し始める。ところがＢ子さんの肝臓は断酒後５日たっても、ほとんど働いていないのに近い状態だった。

　そのままでは肝臓の解毒作用が働かず、汚れた血液が体中に回る恐れがある。急いで、血液成分を入れ替える血漿交換療法を受けた。

　同病院内科部長の堀江義則さんによると、断酒しても肝機能が戻らないＢ子さんのような「重症型」のアルコール性肝炎が近年注目されている。患者数などの調査はまだないが、女性の割合が高く、適切な治療を受けなければ消化管出血などを起こし、７割前後が３か月以内に死亡する。

　ばい菌から体を守る白血球などの働きが過剰になり、肝臓を攻撃してしまうのが一因ではないかとの考えから、同病院など一部の施設では白血球除去療法を行っている。血液を体外に循環させ、フィルターで過剰な白血球を取り除いた後、再び戻す方法だ。

　Ｂ子さんも、この治療を受けて回復し、約３か月で退院した。以後は飲食店の仕事は辞めて酒を断ち、元気に暮らしている。

　重症型アルコール性肝炎は、こういった治療を行っても３割の患者では助からない。堀江さんは「肝炎を繰り返している人は誰でも、急激に重症化する恐れがある。節酒や休肝日を設けるなどして、肝臓をいたわってほしい」と話す。

（2009年12月24日 読売新聞）