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アルコールと病気（３）日記つけて酒量管理

　

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　酒を多く飲む人は、一度に何種類もの酒を飲むうちに、自分でもどれだけのアルコール量を摂取したのか、わからなくなっていることが多い。

　そこで考えられたのが、アルコール量を簡単に換算する方法だ。アルコール１０グラムが「１ドリンク」。同２０グラムを含む缶ビール（５００ミリ・リットル）と同２０グラムの日本酒１合なら、「２ドリンク」足す「２ドリンク」で「４ドリンク」と計算する。

　職員の飲酒運転問題が相次いだ福岡市では２００８年夏から、国立病院機構・肥前精神医療センター（佐賀県吉野ヶ里町）副院長の杠岳文さん＝写真＝の指導で、この換算方法を利用して職員の飲酒量を減らす取り組みを始めた。

　

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　配布される健康日記に毎日、飲酒状況を記録。何ドリンク飲んだかに加え、「仕事がうまくいかず憂さ晴らしに同僚と」「夕食前に野球を見ながら一人で」などと、飲んだ状況を書き添える。１日の上限を決め、下回ったら「○」、少し超えたら「△」、飲み過ぎたら「×」、飲まなかった日は「◎」をつける。

　指導は４か月間。期間中数回、アルコールが体に及ぼす影響などについて保健師らによる講習を受ける。今月までに３期９９人（男性９２人、女性７人）の希望者が受講を終えた。

　健康に悪影響を与えない飲酒量は２ドリンク程度だが、多量飲酒者の場合は最低限、量を増やさず、節酒によって依存症の危険性を減らすのがまず目標だ。

　焼酎などを毎晩４合飲んでいた４０歳代の男性職員は当初、「これ以下だと飲んだ気がしない」と語っていたが、アルコール量を意識して日記を付けるうち、今では「２合で十分になった」という。参加者の６割で酒量が減った。杠さんは「酒量を減らすとアルコールに対する脳の感受性が高まり、少ない量で満足できるようになる」と話す。

　ドリンク数に男性は１・５、女性は２を掛けると、飲んだアルコールが体から抜ける時間もわかる。たとえば７ドリンク（アルコール度数２５％の焼酎２合）飲むと、抜けきるまでに男性で１０時間半、女性では１４時間かかる計算だ。

　これを知らずに翌朝、車を運転すると、飲酒運転になる可能性がある。個人差はあるが、おおよその目安になる。

　杠さんは「アルコールは深刻な健康被害や悲惨な事故を招く。問題が起きる前に飲酒量を予防的に減らす仕組みを広めたい」と話す。

（2009年12月23日 読売新聞）