夫のアルコール依存症(2)おびえながらギャグ考えた
アルコール依存症を患った元夫、
最初に西原さんの友人の悪口を言うようになり、すぐに攻撃の矛先は妻に向かった。
「お前の仕事はくだらない」「最低だ」。朝から何時間も飲んで、大声でなじり続ける。間もなく授かった長男(11)や長女(9)が泣こうが転ぼうが、酔って寝転がっているだけだった。夜中に何度もたたき起こされた。
人前では穏やかに振る舞うのに、二人きりになると目つきが変わる。足元に物を投げつけたり、胸ぐらをつかんで振り回したりした。
「逃げ回るだけで精いっぱいでした。あのころの記憶は途切れていて、思い出そうとするだけで今も震えてくる」と西原さんの顔は険しくなる。
そんな時でも、経済力だけは失ってはいけないと、漫画を描き続けた。すぐそばで暴れる夫におびえながら、必死にギャグを考える毎日。「最後には憎しみでいっぱいで、本気で死んでくれと思いました。大好きな人だったのに」
別居し、気力も体力も尽き果てた2003年に離婚した。結婚生活は6年。仕事を1か月休み、最後の力を振り絞っての決断だった。張り詰めていた気が緩んだとたん、今度は自分がうつ病になった。
(2010年1月14日 読売新聞)
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