2009.12.25 21:12
平成22年度予算案では、地方への配慮を鮮明にするため、自治体への地方交付税の配分額を21年度当初予算より1兆733億円増額し、16兆8935億円を計上した。鳩山政権が掲げる「地域主権」に沿って原口一博総務相が強く求めていた1兆1千億円の増額がほぼ認められた格好だが、増額分のほとんどが税収減の穴埋めに消えそうだ。
交付税は所得税など国税5税の一定割合(法定率)を地方に配分する仕組みだが、これだけでは自治体の予算編成に必要な財源をまかなえず、国の一般会計からの加算や自治体が発行する臨時財政対策債(赤字地方債)で補っている。
交付税の増額は3年連続で、1兆円以上増えるのは11年ぶり。地方交付税は小泉政権が財政のスリム化を目指して始めた国・地方財政の三位一体改革で圧縮された経緯があり、地方側はかねて交付税の圧縮分を元に戻すよう求めていた。今回の増額について、総務省は「地域から寄せられた課題に応えられた。200点満点の成果だ」(原口総務相)と胸を張った。
ただ、22年度の地方税収は、21年度当初予算比3兆7千億円減の32兆5千億円となる見込み。これに伴って自治体全体の歳出入の見通しを示す地方財政計画の規模は4千億円減の82兆1千億円に減ったが、税収減の幅が大きいことから、交付税増額分の多くが財源の穴埋めに消える可能性が高い。